the Cat Met with Special Boxes.

【攻殻機動隊】第6話 模倣者は踊る MEME

もほうしゃはおどるThe copycat will dance

粗筋 page top

いよいよ警視総監暗殺予告の当日。
厳重な警戒を行う会場に、ナナオの送信した遅行性ウイルスが発症する。
パズサイトータチコマを連れて警備に当たっていた草薙は、現場の混乱をなんとか食い止める。
しかしその直後、ウイルスに由来しない騒動が連続して発生する。
個々に繋がりの無いそれらの犯行は、何を引き金にして発生したのだろうか。

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草薙素子「定時連絡のノイズは、断片化された遅効性ウイルス・・・!?」

バトー「ああ!」
ナナオ・A「あっははははは!俺は初めからそっちにはいねえんだよ!」
バトー「特捜の目をどっかからか盗んでやがる。発信先をトレースしてやる!」

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ナナオ・A「ふっ・・・仕事はこれで無事終了。あとは特捜の刑事が此処を見つけ出す迄、何をして時間を潰すか。」

SP:電脳倫理法に違反する電波をキャッチ。電脳汚染の可能性が発生した。総員、電脳活性をチェック。囲の人間の行動に注意しろ。
草薙素子:課長。分割型ウイルスを確認。種類の特定は発症しない限り無理ね。発症対象者は定時連絡のノイズから考えても、SPの中の誰かよ。リモート電波の存在無し。恐らく自走プログラムね。
草薙素子(ふっ。どいつが発症するか、茶番劇だとしてもこの位やらなきゃね。)

バトー「意外と近いぞ!」
刑事1「お前等何を・・・どわ!」
刑事2「おい!」

ナナオ・A「あんたの言った通りだったよ。自宅からウイルスを送ってたら、先走った刑事にウイルスが揃う前に捕まっちまう所だった。それじゃあ笑い男として失格だからなあ。でもあんた、此処に来るのがちょっと早過ぎやしないか?予定じゃ部屋の端末に残した転送記録から刑事が此処を割り出して、逃走する俺を逮捕って筋書きじゃあ、なかったっけ・・・?お?」
深見「いや、予定通りだ。」
ナナオ・A「おい、冗談だろ。俺を殺しちまったら一体誰を笑い男として逮捕するんだよ。」
深見「大丈夫だ。お前の生死は大して問題じゃない。笑い男だったらしいと言う事実があればそれでいい。でも安心しろ。その方が歴史に名は残るよ。」
ナナオ・A「へ?」

大堂「ん・・・?」
大堂(始まったか。)
SP1「総監。電脳汚染の可能性が発生しました。至急SPを含め会場内全員の電脳活性をチェックします。スピーチを遅らせて下さい。」
大堂「うむ。」
SP1「ウイルス感染者の特定が出来る迄、各自F2態勢で待機しろ。」
SP2「おい!なんだ?お前達!止まれ!所属と管制名を!」
草薙素子「黙って。ウイルスが発症する確率が一番高いのは、お前達SP自身だ。」
SP2「ばっ」
草薙素子「定時連絡に乗せた遅効性である所を見ると、可能性は2つ。暗号変換キーを持っている指揮官クラスか、それ以外の全員だ。」
SP1「行け。」
SP3「はっ。」
草薙素子「あれか!」
SP1「奴等を止めろ!総監に近づけるな!残りの者もすぐっ・・・ぐ・・・粛清の、始まりだあ!」
SP3「な、ああ・・・!」
SP2「うああっ!ああっ!」
SP3「うおぉ!」
SP1「はぅああっ!」
草薙素子「ぐう!」
パズ「ぬん!ぬあっ!」
大堂「ひ、ひぃ!」
草薙素子「訓練としては最高だな。老後を集中治療室で過ごしたくなければ、そのまま大人しくしていろ!」
大堂「くぅ、糞ー。」
SP3「ぬうあっ!」
SP1「ぐおぉ!」
SP3「ぐおっ!」
SP1「ぬあぁ!」
草薙素子「せぇい!」
SP1「ぐおっ・・・!」
草薙素子「迫真の演技だな。」
草薙素子「誰かがオンラインでウイルスをコピーしている・・・!攻性防壁・・・!くっ!」
パズ少佐!」
草薙素子「危なかった。身代わり防壁を通していて正解だった。」
パズ「トラップ付きウイルス・・・?」
草薙素子「分からん。」
草薙素子(誰なんだ、こいつの脳を覗いていた奴は?)

バトー「あ。」
バトー:開いてるぞ。
トグサ:逃げられた!?

バトー「至近距離から1発。消音装置も使ってるな。」
トグサ「どういう事なんだ?こいつを特捜に釣り上げさせて、笑い男事件の幕を引く算段じゃなかったのかよ?」
バトー「俺に聞くんじゃねえよ。これも、トカゲのシッポ切りかもな。」
トグサ「にしても、こいつの顔。」
バトー「ああ・・・ふっ、笑ってやがるぜ。」
荒巻大輔「ナナオが消された!?くぅ・・・!」
荒巻大輔:やられたな。現場の状況を出来るだけ記録したら、特捜が駆けつける前にそこを撤収しろ。死者は何も語らん。
バトー:了解。
草薙素子:課長。ナナオの送り込んだと思われるウイルスのコピーを送るわ。発症したのは暗号変換コードを持っていた指揮官だけだから、恐らくもう発症するものはいないと思うけど、念の為ワクチンを作って。
荒巻大輔「分かった、急いで作らせよう。」
荒巻大輔「ナナオが消されたよ。」
草薙素子:聞いたわ。
荒巻大輔:中々手の込んだシナリオだ。
草薙素子「そうね。茶番劇場の演技も相当なものだったわ。でも一つ気になる事があるの。ナナオウイルスをコピーしようとした時誰かが・・・」
荒巻大輔:どうした?
草薙素子「ちょっと待ってて!」
警官1「どいてください。下がって。道をあけなさい!下がりなさい!」
草薙素子:急いでワクチンを作って!何か妙な気配よ。パズ、もう一度総監に張り付け。サイトー囲を警戒。
サイトー:了解!
茶髪男「我は笑い男ぉ!総監のお命、頂戴」
大堂「があ!ぐ、ぐっ・・・!」
草薙素子「遅効性ウイルスが発症したのか!?」

警官2「下がりなさい!」
警官3「大堂ぉ!真実を語れえ!さも無くば死を!」
大堂「なんだ貴様・・・うっ・・・!」
警官3「大堂ぉ!」
SP:至急応援を頼む!笑い男の仲間と思われる一団は
草薙素子「急所は外したみたいね。」
パズ「まだ感染者が出るかもしれん。気をつけろ。」
SP:繰り返す。笑い男の仲間は既に場内に多数潜入中。応援を頼む。
SP「どうなってんだ一体・・・?」
草薙素子「地下駐車場に救急車を手配して。」
草薙素子:課長!ワクチンは?
荒巻大輔「もう少しかかる。一体何が起こった?」
草薙素子:映像を回してる暇はなさそうよ。とりあえずワクチンを急いで。サイトー囲に不審な動きは?
荒巻大輔イシカワ少佐が連れて行ったタチコマは?」
サイトー:探索中。
イシカワサイトー機以外にフリーが2機。」
荒巻大輔「よし。そいつで少佐をバックアップするぞ。ボーマはワクチンを急げ。」
ボーマ「了解。」
リポーター「警官です!なんと警官大堂氏に発砲しました!これも果たして、笑い男による犯行なのでしょうか?」
草薙素子(茶番の域を超えてるわ・・・)
サイトー少佐。こちらも1人片付けたぜ。
草薙素子:他にもまだいるかもしれん。引き続き警戒を怠るな。
サイトー「はあ・・・了解。」
ボーマ少佐。一応ワクチンを組み上げたが、少佐の読みどおり、こいつはSPの暗号変換コードのみに感染するタイプの様だ。今の状況を引き起こしてるのはどうもこいつじゃなさそうだぜ。
草薙素子(じゃあ一体なんなの・・・?)

大堂「はあ・・・はあ・・・」
草薙素子「ああ!」
大男「消去!ぐあっ!」
草薙素子「くぅ!」
大堂「ひぃ!」
大男「いやああっ・・・ぐわあっ!」
タチコマ少佐!援護に来ました!」
草薙素子「遅い!そいつを拘束しておけ!」
タチコマ「ほーい。」

救急隊員「ん?」
長髪男「大堂ぉ!覚悟ぉ!」
草薙素子「糞っ、一体何人出てくるんだ?」

ヘルメット男「ぬお・・・!ん・・・?どわあ!ぐわっ、ああ・・・!」
タチコマ笑い男!暗殺未遂で逮捕する!少佐笑い男捕まえました!」

老人「すんませーん!すんません・・・ああ、警視総監暗殺が行われるホテルにはどう行けばいいんじゃろか?」
警官「ん?ああ!?」
老人「ヘヘえ。」

サイトー少佐、大丈夫ですか?」
草薙素子「あたしの事はいいから、一体何が起こったのか、すぐに情報収集にかかれ!」
サイトーパズ「了解・・・!ふぅ・・・」

茶髪男「だからさ、お巡りさん。そんな事一々聴かなくてももう分かってるでしょ?笑い男ですよ、わ・ら・い・お・と・こ!他の奴等はみんな偽物なの!オレだけが本物なの!」

警官3「あれは私に宛てた笑い男からのメッセージだったんです。私に笑い男になれと。あの暗殺予告はそう告げていたんです。」
取調官「だが、総監を暗殺しろなんて言葉はなかったと思うが?」

取調官「うーん・・・いい加減、口を開いたらどうなんだ!?」

バトー「しっかし、どいつもこいつもなんだってんだ?」
草薙素子「さあ。只のファンて事はないでしょうけど。」
トグサ「これで色んな事が有耶無耶になってしまいましたね。」
バトー「最初にナナオウイルスで発症したSP以外の連中は、あの犯行予告に触発されて自発的に総監暗殺を企てた、そう言ってるそうじゃねえか。」
草薙素子「自分が笑い男だと言ってる者もいるわね。」
バトー「どうせ似たり寄ったりの連中な訳だろ?」
草薙素子「そうね。」
バトー「ん?」
捜査員「やはり洗脳を受けた形跡、ウイルス等の電脳汚染の可能性等も発見されませんでした。もう少し詳しい検査をしてみないとなんとも言えませんが、恐らく、外的な要因は見つかりそうもありません。」
草薙素子「そう、ありがと。」
草薙素子「後は任せるわ、宜しくね。」
トグサ「あ、何処行くんすか?」
草薙素子「課長とちょっとね。」
バトー「デートか?」

老人「嘘だよ。うひひひひ・・・」
荒巻大輔「本庁のコーヒーの味はどうだ?」
草薙素子「私の口には合わないわ。」
草薙素子「行くんでしょ?病院。」
荒巻大輔「知っておったか・・・大堂警視総監は、恐らく入院したまま、任期を満了する事無く退職と言う運びになるだろう。」
草薙素子「事件に対する警察の公式発表は?」
荒巻大輔笑い男と目されていたナナオ・Aの組み上げたウイルスによる同時多発電脳汚染、と言う所で、マスコミは手を打つだろう。」
草薙素子「ナナオの死については?」
荒巻大輔笑い男事件は複数犯によるもので、ナナオは犯行グループ内でなんらかのトラブルにより殺された。今回の犯行予告の目的は定かではないものの、特捜本部は笑い男事件の捜査状況に新たな進展が見られたと言う事で、引き続き捜査を続行していく方針を固めるそうだ。」
草薙素子「茶番劇とは思えない程見事な幕引きね。」
荒巻大輔「そう嫌味を言うな。」
草薙素子「あら、褒めてるつもりなんだけど。」

草薙素子「それにしても、警察の発表は兎も角よ。あの模倣者達、って敢えて呼ぶけど、あの連中は一体なんだったと思う?自分が笑い男だと名乗る者3名、笑い男に憧れて犯行に及んだ者2名、あの暗殺予告が自分に向けられて発せられた啓示であると言う者3名、その他式典会場辺で不審な行動をとっていて逮捕された者を含めれば、39名にも及ぶ笑い男の模倣者達が、一斉に捕まってるのよ?しかも彼等は互いに示し合わせた訳でも無く、宗教的な繋がりも無い。ウイルスや洗脳装置による外的要因によって操られていた形跡も無く、況してや笑い男事件の犯人である可能性さえ皆無な連中が、あのテレビの警視総監暗殺を仄めかす様な声明を見たと言うだけで、一斉にテロを起こした。これは一体どう説明をつければいい?」
荒巻大輔「劇とは、観客自体もその演出の一部に過ぎない。」
草薙素子「答えになってないと思うけど。確かに課長の言うとおり、ナナオ・Aをデコイとした警察内部による隠蔽工作は存在したと思うわ。でも模倣者達による事件は、全く別の要因によって引き起こされた気がしてならないの。あそこからは、何か違うリアルが始まっていたのよ。」

大堂「ええ、あれには私も驚きましたが、まあその位は覚悟しておきませんと。早目に手を打っていたとは言え、今回は色々と・・・はい。はい、そうですな。任期を満了出来ずに引退する事については、聊か悔いが残りますが、この際、関係のある者は一線から退いたほうが何かと。ええ、引退後の件に関しましてはもう。はい、有難う御座います。ええ、では、こちらこそ宜しくお願い致します。」
荒巻大輔「失礼します。今回の事件では大変な災難に遭われた様だが、お元気そうで何よりです。」
大堂「なんの用かね?私は休養中の身でね。表の札が見えなかったのかね?」
荒巻大輔「内の部下に一言礼があっても良さそうなもんですが。まあいいでしょう。ところでアムステルダムの夏は此処より過ごしやすいと聞いておりますが?」
荒巻大輔「今回の一件で私も漸く決断を下せます。」
大堂「ふん。君も引退するのかね?」
荒巻大輔公安9課は今後、笑い男事件の真相を究明するべく独自の捜査を開始します。本日はその件を総監にお知らせに参りました。捜査が始まり次第、総監には、セラノとの金の流れ等でお伺い致したい事が多々御座いますので、今の内にゆっくり、休養される事ですな。」
大堂「うっ・・・!」

電話中の男「あーあー、そう。で、回線が目茶目茶混んでてさ。すっげーラグって、全然ゲームどころじゃねえの。」

荒巻大輔「どうした?」
草薙素子「全てが同じ色に染まっている。」
荒巻大輔「ああ・・・さっきの答えだがな。儂は元々笑い男事件には、実体のある犯人は存在しないのではないかと考えている。今回の事件も、6年前に埋められた何かの種が、暗殺予告を切欠として芽をき出したに過ぎんとな。そして模倣者達も、この現象が引き寄せたスタンド・アローンの複合体であり、所詮はオリジナルのないコピーなのだと。」
草薙素子笑い男のオリジナルは存在しないと・・・?」
草薙素子(じゃああのSPの脳に潜った時、私達を見ていた存在は何?)
荒巻大輔少佐。今は、はまる当ての無いピースについて考えるのはよそう。明日からまた壮大なパズルを一から組み直しだ。」
草薙素子「そうね。」
荒巻大輔「そうだ、トグサに伝えておいてくれんか?山口の墓に花を手向けておいてくれと。この事件に最初に光を当てたのは、他ならぬ彼なのだからな。」
草薙素子「了解。」


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※1:meme ミーム(人間を媒介として増殖する思想因子)の事。生物学者Richard Dawkinsの造語で、遺伝子を意味するgeneから。

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