the Cat Met with Special Boxes.

【攻殻機動隊】第9話 ネットの闇に棲む男 CHAT!CHAT!CHAT!

ねっとのやみにひそむおとこThe man who dwells in the shadows of the net

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ネット内では世間に再登場した笑い男に関して話題が沸騰していた。
笑い男専用チャットルーム内で繰り広げられる壮大な事件の推理。
自ら討論に参加する事によって真相に辿り着こうとした草薙は、そこである監視者の存在に気付く。
草薙が長らく抱えていた違和感の正体はなんなのか。

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オンバ「やあみんな!ラッフィングマン・ルームへようこそ!」

J.D「いやあ、6年ぶりの復活!と思ったのに吃驚じゃない?」
オンバ「確かに驚いたね。不謹慎ながら、このネットマスターオンバも流石に血が騒いだよ。」
J.D「此処に来ているみんなは筋金入りのフリークス。」
ぐるぐる「でも討論に加わる気は無い奴ばーっか。」
カナビ「よしなさいよ、そういう物言い。」
ベビー・ルース「書き込み攻撃、されますよ。」

クロマ「このチャットルームに、笑い男事件について興味深い話をする人が居るって聞いて来たんだけど、どなたかしら?」
J.D「此処にいる全員がそうなんじゃないのかな?」
ぐるぐる「そうでも無い奴もいるけどね。」
J.D「それってどういう意味?」
ぐるぐる「そのまんまの意味。」

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J.D「それにしても、笑い男が復活した途端に死んだってのはどういう訳?これで僕もリアルタイムフリークスの仲間入りだと思ったのに。」
カナビ「何興奮してるの?今さらそんな事に拘ってる人居ないわよ。馬鹿らしい。」
ぐるぐる「馬鹿らしいと言えば、まずあんたのその格好が馬鹿らしいと思うね。」
J.D「だったら、さっさと建設的なテーマを提示しろよ。ふん。」
カナビ「それじゃ、今回の暗殺未遂事件で笑い男が突然復活した理由について、って言うのは?」
ぐるぐる「はーい、先生。それは、世の中が相も変わらず退屈で糞っ垂れだからだと思います。」
カナビ「そんな事は分かってるけど、私が言いたいのは今回の事件と6年前の彼とは、実は別の犯人なんじゃないのかって事なのよ。」
ぐるぐる「くっくっくっ。彼だって?笑い男が実際に男かどうかも分からないのに?」
J.D「男だよ。僕があるソースから得た情報によると、男に決まってる。それに女だとしたら、笑い男なんて名乗るか?」
ベビー・ルース「待ってください。よ、よく資料を調べて貰うと分かると思うんですけど、彼は自らを笑い男と名乗った事はないんですよ。」
J.D「名乗ったとしても、男だよ!社長誘拐の時の映像、ありゃどう見ても男だぜ。」
ぐるぐる「たーんじゅん。義体って可能性もあるのに。」
カナビ「待って。話題がずれてるわよ。今回の事件が、今迄企業脅迫に限っていた彼の犯行スタイルと余りにも違うって事について意見は無いの?確かに今回の事件もマイクロマシン絡みの疑惑からスタートしてはいるけど、行き成り総監暗殺を決行するって言うのは乱暴過ぎって気がしない?」
ぐるぐる「うーん。ま、確かに、6年前は秘書や家族の電脳をハックしてメールを送るって言うスタイルから始まったって話だけどね。」
J.D「それじゃあ、今回は偽者って言いたい訳?」
カナビ「その可能性高くない?彼が姿を消してから6年よ。今回の事件はネット上の笑い男ブームに託けた狂言なんじゃない?」
ベビー・ルース「でも、企業脅迫が笑い男の犯行スタイルだと決定している根拠はなんですか?最初の誘拐は乱暴ではなかったんですか?」
カナビ「でも社長誘拐以後は衝動的な犯行は犯していないと思うけど。」
J.D「そうだよな。大体クールじゃないよ、他人を操って暗殺なんて。笑い男って言えば超AI級のハッカーだけど、今迄人死には出していなかった訳だし。ちぇっ、面白かったけどやっぱ今回のは偽者か。ま、その方がいいけど。」
ぐるぐる「早くもリアルタイムフリークスの称号剥奪されちゃったね。お気の毒。」
ベビー・ルース「じゃあ、笑い男がクールだと考える理由はなんですか?」
J.D「クールに決まってるだろ!あれだけの事をやってのけたのに、違うって言うのかよ?」
ベビー・ルース「別にクールじゃないと言ってる訳じゃないんです。ハッカー行為の手際の良さによってクールさが決まるとしたら、今回の暗殺に使われたと言う遅効性ウイルスは素晴らしい物だったそうですよ。余りに精巧に作られていたから、警察もSPの電脳で発症してからしかワクチンを作る事が出来なかった位ですからね。」
カナビ「確かにそうだわ。しかも警察はその後、ウイルス自体の痕跡すら手に出来なかったって噂だしね。」
ぐるぐる「成る程。でも死んじゃったじゃん、犯人。」
J.D「そうだよ。そのウイルス作ったって奴は、誰かに殺された訳だから、やっぱり偽者が現れたが殺されたって事だ。」
カナビ「誰がなんの為に?」
ぐるぐる「はーい先生。それは秘密結社の陰謀だからです。」
J.D「そういえば、僕があるソースから得た情報によると、今回の事件が発生する以前から、脅迫を受けた企業が殺し屋を雇っていたらしいぜ。」
ぐるぐる「それ何処のソース?豚カツ?オイスター?」
カナビ「企業が犯人を消す理由は何?」
J.D「だから、ずっと機会を狙ってたんだって。脅迫や現金要求に対する恨みからさ。それが今回の暗殺予告で足が付いたって訳さ。」
ぐるぐる「にしたって、偽者消してなんになるんだよ。」
カナビ「そうよ。もし本物だとしても、警察が解析出来なかった相手を見つけて殺すなんて有り得ないわ。」
ベビー・ルース「そ、それこそらしくないです。そんなに簡単に足が付くなんて、クールじゃない。」
J.D「だったら、本物の笑い男によって殺されたってのは?」
ぐるぐる「んな訳ないでしょ。警察の言う様に、笑い男複数犯説で仲間割れってのが妥当だろ。」
カナビ「それじゃあ最初の結論に戻ったって事でいいのかしら?今回の事件は6年前の笑い男とは別人が起こしたって事で。」
ベビー・ルース「も、もう一度聞きますが、企業脅迫が笑い男のスタイルだと言う根拠はなんですか?」
J.D「しつこいよお前!だからクールじゃないからだよ!」
ベビー・ルース「でも、よく思い出して見て下さい。一番最初の事件って、そんなにクールだったですか・・・?」
J.D「あ、あっ・・・」
ぐるぐる「ふぅ・・・」
オンバ「成る程!そのねたを語るには、やはり原点は外せないね。じゃあちょっと話題を変える意味で、笑い男事件の原点を振り返ってみる事にしよう。」

キャスター「2月3日、7時20分になりました。おでかけ天気予報の時間です。みなさん、朝の通勤ご苦労様です。本日は快晴とはいきませんが、まずまずのお天気の様ですね。でも、実は午後から、二酸化炭素除去に伴うマイクロマシンの散布が行われる模様です。喉が気になる方はマスクを着用された方がよろしい様です。ところで皆さん、覚えてましたか?今日2月3日は、国際博覧会開催迄、丁度100日前の日なんです。そこで今朝のおで天ではこんなアンケートを考えてみました。題して、万博に」
笑い男「そいつはずるいな!」
女「きゃあ!」
笑い男「だったら今、あのカメラの前で真実を語ってください!」
アーネスト・瀬良野「やめろ!君には撃てんよ。」
笑い男「どうかな・・・!」
アーネスト・瀬良野「ぐわっ!」

オンバ「最早見飽きちゃったかもしれないけど、本人と思われる人物が姿を見せたのがこの時一度きりだから、仕方無いよね。」
J.D「ねえ、気がついた?番組のフライングロゴもマークに書き換えられてて。芸が細かいねえ。」
ぐるぐる「各地の予報もね。ただそれって、再放送の分から変わったって噂もあるんだよね。」
カナビ「なんにしても、これが6年前この国を震撼させた笑い男事件の原点ね。」
ぐるぐる「でもさ、今見たら全然クールじゃないじゃん。銃持ってる手だってプルプルしてるし。」
J.D「甘い。何言ってんだよ。そこがかっこいいじゃんか。」
カナビ「ただ、この後に続く連続企業脅迫の手口と較べたら、全然無謀よねえ。」
ベビー・ルース「違います。特Aのハッキングテクニックを持ってるにも関わらず、最初は自らの肉体を敢えて危険に晒すと言う無謀とも取れるパフォーマンスが、我々の共感を呼んだんです。彼は搾取型企業の欺瞞を暴こうとしているんだって。」
ぐるぐる「深いね。」
J.D「いやそうなんだ。一見稚拙な事件を起こしておきながら、メディア全てにハッキングしてあると言う到さ。そこが彼の魅力さ。」
ぐるぐる「熱いなあ君達。ラブ笑い男って感じ?そんなメッセージ一度も発せられてないのにねえ。」

リポーター1「セラノ社に次いで、ジャパン・マイクロ・インダストリーが笑い男によって脅迫された模様です。」

リポーター2「大変な事になりました。夥しい数の事務机でしょうか?今度は佐川電子本社への脅迫です。一体どうやってこれだけの数の机を一晩の内に運び出したのでしょうか?これは正に、前例の無い企業テロと言えるでしょう!」

TAMON「本物?本物でしょコレ!」
大定春「ナノプラント社に電話して下さい。」

司会者「薩摩メディテックスって言ったら、九州でも一番の優良企業でしょ?なんでそんな所に殺人ウイルスを送り付けるなんて事する訳?」

男1「分からん。恐らく夕べの内に庭師ロボットハッキングしてやったんだろう。出せ!」
男2「おい、見ろ!」

ぐるぐる「あ、僕マイテル社のミステリーサークルがプリントされたTシャツ持ってる。くくっ。」
カナビ「この後、株価の下落が懸念された被害企業に対して公的資金の導入が決定すると同時に、笑い男は犯行終結宣言を出してネットの闇に消えた。」
ぐるぐる「カドヤがスナック菓子の中に笑い男マークが入ってるってやらかして、一瞬株価を上げたりしたって事もあったよね。」
ベビー・ルース「どの企業も株を使って大儲けした連中が居たって噂については、どう思いますか?」
カナビ「そこだけで判断するなら、薩摩メディテックスの件は偽者かも知れない。」
ぐるぐる「それは可愛い女の勘って奴?」
カナビ「だったら、他社が脅迫後に辿った株価の変動と、薩摩の物と較べてみたらどう?」
ぐるぐる「そういえば、薩摩だけお上からの資金は導入されなかったっけか。」
J.D「成る程。」
カナビ「終結宣言の後で、6社全てが同じ位儲かってたから、気付いてなかったのよ。」
ぐるぐる「ま、予告のトーク番組にしても、かなり残念な感じだったしね。それじゃ、あれは局側のやらせって事にけってーい。」
カナビ「でも、改めて事件を振り返ってみると、6年前の事件も結構矛盾してるわよね。これを全て同一犯と考えるのは、やっぱり強引過ぎかしら。」
ぐるぐる「結局、複数犯って事なんじゃないの?最初の誘拐と、その後の事件の思想の違いを指摘している評論家も少なく無いし。」
J.D「僕は単独犯説を支持したいんだけど。」
カナビ「それは難しくない?」
クロマ「今は6年前と今回の犯人が同じかどうかって事を推理しても意味無いわ。事件の全容を解く鍵は、6年前の誘拐と今回の暗殺予告の直後に連鎖的に起こった現象が、なんの因子によって引き起こされたのかって事の方にある気がするわ。」
オンバ「おっ、お姉さん、鋭い!」
ベビー・ルース「僕もそう思います。」
オンバ「それじゃあ、こちらでストックしてある当時の映像を見ながら、そいつを検証してみよう。でもその前に、サーバー全体に溜まったキャッシュ上のバックアップデータをデリートするので、ちょっと休憩!」

ぐるぐる「ねえ。このマークを考えたって事になってるデザイナーのポール※1が、事件当時任意同行で特捜にあげられたの覚えてる?」
カナビ「自分のデータベースがハッキングされて、デザインが盗まれたって言い続けてた?」
J.D「結果的にデザイナーとして有名になれたのは事実だけどね。僕も尊敬してるし。」

カナビ「それにしても、この事件が当時これだけブームになった理由って、なんだったんだろう。」
J.D「分かりそうで分からない謎と、程好いタイミングで供給され続けるセンセーション。」
ぐるぐる「たまにはいい事言うね。瀬良野社長が捜査に協力的じゃない所も、その辺をくすぐったっけね。」
ベビー・ルース笑い男との裏取引を、今も疑われていますしね。でも、僕がこの事件に一番魅かれたのは、やっぱり最初の事件に見て取れる義侠的精神と孤高なヒーローのイメージなんですけどね。」
J.D「あ、僕もそれ。」
カナビ「今度の事件の始まりも、インターセプターの不正使用疑惑の会見場だったけど、それも義侠的精神?」
ぐるぐる「そのインターセプターを開発したのは、他でも無いセラノ・ゲノミクス社。」
ベビー・ルース「権力との繋がりを感じませんか?」
J.D「やっぱおもしれー!1億総探偵化って言うか、観衆の総並列化が起こる訳だよ。」
カナビ「全てがマイクロマシン業界ぐるみの自作自演で、笑い男は最初から株価操作を目的としたプログラムだった、って言う落ちは?」
J.D「そんなのつまんない。やっぱ笑い男はいるよ。」
ぐるぐる「いて欲しいって思っていたいだけなんじゃないの?」
J.D「だけど僕があるソースから得た話では」
ぐるぐる「けっ、またソースかよ。」
J.D「この事件によってもたらされた経済効果は約20兆円。それはそれで大した存在意義だと思わない?」
ベビー・ルース「みんな、中々僕の言いたい話に乗ってきてくれないので、僕も独自のソースから得た取って置きのねたを提供します。今回、同時多発した暗殺未遂はナナオ・Aのばら撒いたウイルスによって引き起こされたと言う警察の公式発表は、全部嘘です。」
カナビ「その根拠は?」
J.D「そうだよ。そのねたのソースを明かせよ。」
ぐるぐる「まただよ、ソース。ちなみにこの部屋にJ.Dがお出ましになってから今迄何回ソースって言ったでしょう?」

クロマ「私もそれには興味があるわね。」
ベビー・ルース「実は僕、あの時間、現場にハッキングを仕掛けてたんです。」
J.D「まじかよ!?じゃあお前も暗殺を考えてたって事?」
ベビー・ルース「ああ、じゃ無くて、僕はただ、どんな事が起こるのか知りたくて覗いてただけなんです。だから恐らく、あの39人の暗殺犯もウイルスで操られてたんじゃ無くて、自分の意志であそこに行ってたんだろうと思うんです。僕と同じ様なハッカー山いたし、客席の中にもクラックしようとしてた人もいるんじゃないかな。ただ、誰もが何故か失敗してましたけど。」
クロマ:貴方、あれを見た?
カナビ「それが本当なら大変な事よ。」
ぐるぐる「最早何も信用出来ません。」
J.D「そっかあ!僕もあの日、式典会場に行こうかなって、一旦は思ったんだよなあ。くっそー。」
カナビ「待って。て事は、実は逮捕された39人の中に笑い男がいたんじゃない?」
ベビー・ルース「それはないと思います。あの時捕まった連中は此処に居る人達と同じ、熱狂的ファンか模倣者です。」
ぐるぐる「じゃあナナオ・Aの犯行予告に呼応して、奴等はあそこに行ったと。」
ベビー・ルース「それもちょっと違うんです。実は、もう一つ取って置きのねたがあって、あの事件の後、僕、ネットにダイブしていて、ナナオの手によって改竄された彼名義の登録サーバを見つけたんです・・・あれです。」
カナビ「本当だわ。」
ベビー・ルース「気を付けて下さい。攻性防壁が巡らしてありますよ。レベル6迄潜ると、いくつもシミュレーションされた計画が残されています。再び大手マイクロマシンメーカーを脅迫するとか、今度はサイボーグ食品企業を狙うと言った方法もあって、どの計画にも遅効性分割型ウイルスが成功の要だと言う部分は共通しています。でもそこで、ある一つの疑問が残ったんです。実はナナオが実際に起こした総監暗殺は、シミュレーションの中にないんです。他にいくつも到な計画を準備していながら、直前になって突然総監暗殺に切り替えたのは何故なのか・・・」
クロマ「よく調べたわね。」
ベビー・ルース「これしかやっていませんから、僕・・・」
J.D「でもなんでだよ。もしかしてナナオ・Aも、犯行予告に影響を受けた単なる模倣犯だって言いたいの?」
ベビー・ルース「そう考えないと、綿密に練り上げた計画を投げ出して迄、プランに無い暗殺計画で切り札を使った理由が説明出来ないんです。」
ぐるぐる「じゃあ、総監暗殺を予告したのは誰よ?あんた深読みし過ぎだよ。もっと実際の事象のみ解読しようよ。」
カナビ「でも、あんなの見せられたら信憑性無い?その話。」
ぐるぐる「じゃ、逆に聞くけどさ。あの日多くの実行犯が出たにも関わらず、ナナオ以外に電脳型の犯行が一件も起こらなかったのはなんでよ?」
ベビー・ルース「当日はナナオだけが犯行を起こす予定になっていたのかも。で、予め失敗するのも決められていた。そしてナナオこそが、6年前に世間を震撼させた笑い男事件の犯人となる。」
カナビ「その筋書きを書いて得をするのって、誰?」
ベビー・ルース「それはやっぱり、警さっ・・・さっ・・・ささっ・・・ささささささささささささささ・・・」
オンバ「おおう・・・?」
J.D「おい・・・!」
クロマ:貴方、随分と回りくどい説明してきたけど、かなりいい線迄辿りついてるんじゃない?

クロマ「あの時現場で、私の身代わり防壁き飛ばされたのを見た?」
ベビー・ルース「え?あ、まさか・・・あの会場でSPを取り押さえてた、お姉さん・・・?」
クロマ「どうなの!?」
ベビー・ルース「ええ、見てました。危ない防壁が張られてましたね。」
クロマ「その断片とかって残ってる?」
ベビー・ルース「ええ・・・これです。」
クロマ「ありがと。」
ベビー・ルース「いいえ。あ、じゃあ、僕も訊いていいですか。僕は初め、全ての黒幕は警察自身と思っていたんです。でも、あの攻性防壁は会場に張られていた警察の物とは明らかに違う・・・あんな防壁見た事ありません。やっぱりあれは、笑いおと」
クロマ「しっ。断片のお礼に忠告しとくけど、あんまり知り過ぎると、現実世界の肉体ごと消される事になるわよ。」

J.D「おい、コネロスしちゃったのかよ?」
ベビー・ルース「あ、大丈夫です・・・済みませんが、今日はこの辺で失礼させて頂きます。」
カナビ「何よ。まださっきの続きが」
ベビー・ルース「では、済みませんでした・・・」
カナビ「あっ・・・」
J.D「なんだよ。なんだか急に冷めちゃった感じ。」
ぐるぐる「ま、どうせこんな所で熱くなったって、事件の真実には辿りつけないけどね。」
カナビ「分かんないわよ。もしかしたら本物の笑い男が見ているかもしれないじゃない。」
ぐるぐる「そんな事思っちゃってる時点でもう駄目駄目だよ。とは言え、この事件ってやっぱり難し過ぎるよ。いずれ飽きるね。」
カナビ「あたしは、腐りきった世の中から生まれた偶然が、何かの象徴として作り出してしまった現象が、笑い男なんじゃないかって思うな。」
J.D「こんな風に踊らされてる僕等にしたって、既に模倣者だしな。」
カナビ「ただ、事件の全てが現象だったとしても、ベビー・ルースが言った様に、最初の誘拐と6年経った今になって暗殺予告をしてみせた件にだけは、何か共通した物を感じなくも無いわね。」
クロマ「私はその2つの事件だけが、同一の才能を持った犯人によって引き起こされた物だと考えてる。他の物は規模の大小、その目的、犯行思想等に関わらず、英雄の不在が作り出したコピーでしかないと。ただその切っ掛けを作った2つの事件の犯人も、オリジナルであるかどうかは疑わしいけどね。」
オンバ「お姉さん、鋭い!」

クロマ「強制転送か・・・?」
クロマ「なんだ?」
オンバ「なんで?今いい所なんだよ。もうちょっと繋がっててもいいでしょ?ああん、けち!」

バトー「なんだけどよ、お前、どう思う?」
草薙素子「ちっ、トレース出来なかったか・・・」
バトー「おい・・・」
草薙素子「えっ?何か言った?」
バトー「もしかしてお前、今迄ずっと潜ってた・・・?あっぶねえなもう!」
草薙素子「別にこの辺りの運転なら、居眠りしながらでも出来るわよ。で何?」
バトー「いいよもう・・・二度と言わねえ。」
草薙素子「オリジナルなき模倣者達の作り出した現象・・・そこに繋がらないピースが2つ・・・」
バトー「なんだ?それ。」
草薙素子「別に。」


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※1:ポール・ニコルソン(Paul Nicholson) イギリス人グラフィックアーティスト。

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