the Cat Met with Special Boxes.

【攻殻機動隊】第11話 亜成虫の森で PORTRAITZ

あせいちゅうのもりでIn the forest of Pupae

粗筋 page top

厚生労働省に大規模なハッキングがなされ、機密性の高い情報が盗まれる。
ハッキングを仕掛けていた元を辿ってみると、ある電脳不適応児を集めた授産施設の存在に行き当たる。
トグサは単独で潜入捜査に乗り込む。
その末に、ある意外な事実にぶつかるのだった。

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トグサ「なんです?これ。」
草薙素子「法務省管轄、授産施設の内部資料。」
トグサ授産施設?」
草薙素子「重度の電脳閉殻症患者を一時的に隔離して、社会に出る為の訓練を促す所よ。聞いた事位あるでしょ?」
荒巻大輔「先週その施設から、厚生労働省のデータベースに大規模なハッキングが仕掛けられた。漏れた情報の中には深度A以上の最高機密も含まれている。防壁が破られた時間を見てみろ。三重に巡らした異種の攻性防壁を僅か2時間足らずで突破してる。単独犯だとしたら少佐以上の手練れだ。」
トグサ少佐以上?」
草薙素子イシカワボーマに念入りに逆探知させたけど、ハッキングの出所はそこに間違いないわ。だけど不思議なのは、施設の回線は通常遮断されていて、内部から外部に出る事もその反対も基本的には不可能になってるのよ。」
荒巻大輔「更に妙なのは厚生省サイドの反応だ。最高機密を盗み見されていながら、一切の被害報告を出していない。潜られた事自体が不名誉だとしても、不自然な反応だ。」
草薙素子「何か都合の悪い事情があるんでしょうけど、土足で踏み込むと足が付く恐れがあるのよ。」
荒巻大輔「そこでだ。」

トグサ「潜入捜査ね・・・」

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トグサ「通信区画か・・・報告書通りか。電源も来てやしない・・・どうしたんだ?君・・・」
オンバ「繋ぐんだ・・・今日は、僕が繋ぐんだ・・・」
トグサ「おい・・・」
マルタ「誰?」
トグサ「ん、あ・・・」
マルタ「いたわ・・・新しい研修生ね。所長のマルタよ。」
トグサトグサと言います。」
マルタ「駄目でしょ?今はみんなで作業する時間よ。」
オンバ「繋ぐんだ・・・今日は、僕が繋ぐ日だよ・・・」
トグサ「なんです?」
マルタ「貴方、電脳自閉モードにしてる?」
トグサ「ええ。」
所員1「どけ!」
マルタ「注意して。」
所員1&所員2「はい。」
オンバ「僕が繋ぐ日だよ・・・」
所員1「ああ、そうだな。」
所員2「だが今は作業の時間だ。」
オンバ「ヴァーチャルシティαに行くよ。はっ!はああ!あっ・・・僕が・・・僕が繋ぐ日だよ・・・僕が繋ぐ日だよ!」
トグサ「おい!」
所員1「ん・・・?あ・・・あぐ・・・うわっ!」
所員2「ぐわあ!」
マルタ「あ・・・あの子を捕まえて。早く!」

サイボーグ「油断するんじゃない。」
マルタ「有難う、助かったわ。」
サイボーグ「大丈夫。眠っているだけです。」
マルタ「そう・・・」

トグサ「なんだったんです?あれ。」
マルタ「此処では外部にネットする事は、職員の立会いの下でしか出来ないルールなの。その上、昨日から此処が使えなくなっていたので、ちょっとパニックを起こしたのね。座ったら?」
トグサ「はあ・・・」
マルタ「あの子は、特に順番やスケジュールなんかの決まり事に対して拘りが強いの。」
トグサ「それにしても、ちょっと乱暴な感じですね。」
マルタ電脳閉殻症と言うと、電脳への不適応者の様なイメージが一般には強いけど、本当は相性が良過ぎる事が問題なのよ。」
トグサ「相性が、良過ぎる?」
マルタ「ええ。彼等は一旦ネットしたいと思うと、徹底的にそれを持続しようとするの。それが特定の人物だったりすると、意識迄共有しようとして脳潜入を犯したり、逆に相手の攻性防壁に焼かれて死んでしまう事すらあるの。かと思うと、防壁内に閉じこもって一切他人との接触を拒んで、そのまま帰って来られなくなってしまったりとか。此処は、そういった重い症状の子供達が昼間共同で生活をしている区画よ。」
トグサ「その様な事故を防ぐ為にネットワークから隔離する必要がある。それが彼等自身を護る事でもある、か・・・確か、そうでしたよね?でも、さっきの少年みたいに、身代わり防壁を飛ばす迄の能力を持っている物ですかね。」
マルタ「それは、此処を見て貰えば分かると思うけど。此処はある種の危険地帯なの。電脳閉殻症は知的障害を併発する場合もあるけど、電脳世界に対しては驚く程適正を発揮する場合が少なく無いわ。この子達の症状を活かした職業訓練として、防壁迷路のプログラムをして貰っているの。時には優秀な防壁が生まれて、政府の機関に採用されたりする事もあるのよ。独特な組み方をしてある物ばかりなんで。この子達は放って置けば一日中でも飽きずに防壁を組み上げたり解体したりしてるんでしょうね。」

マルタ「これで一通りは見て貰えたかしら?」
トグサ「え・・・ええ。」
マルタ「貴方には共同部屋を一つだけ担当して貰う事にするわ。この子はアオイ君。貴方の担当よ。」
トグサ「はい。」
マルタ「他の子はもう戻っていると思うから、後宜しくね。」
トグサ「分かりました。アオイ君か、宜しくな。」

黒羽「遅いぞアオイ、何処に・・・」
トグサ「よー。今日から担当になったトグサだ。宜しくな。」
トグサ「どうだ、キャッチボールでもやらないか?外はまだ明るいし。」
黒羽「おい、返せよ!嫌がってんだろ!」
トグサ「ああ・・・」
黒羽「こいつ、ミットが無くなるとパニックになるんだ。それに今じゃ外に出たいなんて思う奴は居やしないんでね。」
トグサ「もしかして、何か酷い事をされてるのか?」
オンバ「ねえねえ!また来るってよ、団長が!」
黒羽「本当か!?」
オンバ「うん、さっき知らせがあったんだ。」
黒羽「驚いたな。先週来たばっかなのに。」
トグサ「先週?その団長ってのは誰だい?」
オンバ「あっ、小父さんするどい!」
黒羽「しっ!」
トグサ「なんだよ?」
黒羽「あんたが信用出来る大人かどうか分かんないからな。」
オンバ「そうだね。」
黒羽「だから迂闊に話す訳にはいかないのさ。」
トグサ「厳しいんだな。」
黒羽「当たり前だ。」
オンバ「それじゃ僕、他の人にも知らせてくる。」
黒羽「ああ。」

バトー「あー、遅えなあ。」
草薙素子「あら、心配?」
バトー「まさか。あいつはとろいから、どじ踏んでねえかと思ってさ。」
トグサ:誰がとろいって?
草薙素子「遅いわよ!何してたの?」
トグサ:あ、いや、足が付かない様に回線繋ぐのに手間取っちゃって。なんせ、外と線が通じてる所が此処しかないので。
草薙素子:で?。
トグサ:この施設は、閉殻症患者を使って防壁迷路をプログラムさせたり、逆にそれを解体させたりしています。そうした技術を利用している奴が居るとすれば、厚生省へのハッキングの手際の良さも説明が付くんじゃないすかね?
草薙素子「成る程。それで、犯人の目処は?」
トグサ:それが、まだ。只、矢鱈と重装備サイボーグが居たりで、妙な施設です。
草薙素子「分かった。引き続き内偵を続行しろ。」
トグサ:了解。ああ、少佐。あと一つ、気になる事が。
草薙素子「何?」
トグサ:団長って、なんだと思います?
草薙素子「団長って、あの団長?」
トグサ:ええ。施設の子供達が口にしてたんですが、なんでも先週此処を訪れたとかで。
草薙素子「成る程。一応こちらでも音素に分けて検索をかけてはみるが、」
草薙素子:お前は次の定時連絡迄にそいつの情報を集めろ。
トグサ:了解。
トグサ「ん・・・?」
トグサ(俺以外にも此処を使用している奴がいるって事か・・・)
トグサ(僕は耳と目を閉じ、口を噤んだ人間になろうと考えた。が、ならざるべきか・・・なんだこりゃ・・・?)
トグサ(油絵の具・・・)

トグサ「へえ、大したもんだな。」
トグサ「まるで写真だ。でも本番は書かないんだな・・・君は団長って人の事知ってる?」
授産施設の少女「美しい世界を創るの・・・新しい心を見るの・・・」

トグサ「お早う!」
黒羽「なんだよ?団長の事なら教えねえぞ。」
トグサ「分かってるよ。」
黒羽「あんた、あんなの見た事あるか?最高にクールだろ。」
トグサ「君達、擬似画像プログラム読めるのか?」
黒羽「なんだ、あんた読めないのか?」
トグサ「ああ。」
黒羽「だったら、こいつの脳と繋がってみなよ。面白いものが見られるぜ。でも気をつけてくれよ。前にも、職員の一人がこいつの脳に潜ってみたら意識が混線しちまって、それっきりさ。どうする?」

トグサ「いや・・・やめとくよ。」
黒羽「つまんねえ。意外と意気地がないんだな。」

トグサ「なあ、団長って誰なんだろうな・・・」
マルタ「それじゃ、後宜しく。」
所員「はい。」
マルタ「あら、貴方。」
トグサ「お疲れ様です。お出掛けですか?」
マルタ「ええ、福祉事業の懇談会なの。」
トグサ「そうですか。いってらっしゃい。」

トグサ「悪いな。ちょっと待っててくれ。すぐ済むよ。」

トグサ「此処にも油絵が・・・」

トグサ「取り立てて怪しい記録は無いな・・・先週此処を訪れたものもゼロか・・・糞ぅ。外部記憶にアクセス出来ないってのは不便だな。」
マルタ「困ったわね。」
マルタ「担当をほったらかして、スパイ活動?そんな所を探しても団長に関する手掛かりは見つからないわよ。」
トグサ「言い訳出来る様な状況じゃありませんね。」
マルタ「死なない程度に痛めつけて。」
サイボーグ「はい。」
トグサ「ちょっと待ってくれよ。此処でやり合うと、折角の絵が」

サイボーグ「そんなもので戦う気か!?」
トグサ「え・・・ぐっ!うっ・・・がはあ!・・・だから・・・絵を粗末にするなって・・・電子情報と違って、複製が利かないんだからさ!」

トグサ「丸腰な訳・・・無いだろ!」

マルタ公安9課・・・」

9課オペレーター少佐、今し方施設内の回線が、一斉にオンライン状態になりました。」
バトー「何かあったな・・・」
9課オペレーター「こちらのアクセスコードを解凍しようとしてます。」
バトー「内偵がばれた?」
草薙素子「分からん。すぐに回線を切れ・・・何をしている!?」
9課オペレーター「ロ、ロックされてます!」

草薙素子バトートグサを連れ出すぞ!」
バトー「おう!」
草薙素子イシカワは施設の回線を掌握。サイトーは退路を確保!」

オンバ「やった!覗き屋のAIを焼いてやったぞ!」
アオイ黒羽。」
黒羽「あ、団長!何処行ってたんだ?」
アオイ「不味い事になった。外の人間に気付かれちゃったんだ。大人がいっぱい来る事になる。その前に僕は消えなくちゃならない。」
黒羽「え・・・なんで・・・?今迄上手くやって来たじゃないか。今度も俺達が守ってやるよ。」
アオイ「いや。そろそろ僕は此処を出て行かなくちゃならなかったんだ。」
黒羽「待てよ!じゃあ俺やオンバ達の記憶も消していくのか?」
オンバ「やった!」
アオイ「残念ながら。」
黒羽「そうか・・・ヴァーチャルシティαから君を応援する事も、二度と出来ないんだな・・・分かった。でも俺達は君の事を忘れたくない。その為に何かを残していってくれ。」
アオイ「うん。約束するよ。」

草薙素子トグサ!おい、トグサトグサ!何があったんだトグサ!おい、起きろトグサトグサ!」

草薙素子「で、トグサの言っている、アオイと言う青年が実在した証拠は?」
イシカワ「結局見つからなかった。施設のコンピュータや職員達の記憶が改竄された可能性はあるが、比較対象がトグサの証言だけでは調べようも無い。」
草薙素子「もう一つの、少女が描いていたと言う似顔絵は?」
イシカワ「それも発見出来なかった。」
バトー「あいつ、それで報告書代わりに似顔絵を?」
イシカワ「ああ。左利き用のキャッチャーミットを持った車椅子の美少年。自分の電脳に残った記憶を元に作成するそうだ。」
バトー「左利きのキャッチャーミットねえ・・・それは存在しそうで実際にはあり得ないって意味のネット隠語だよ。」
トグサ「そいつはどうかな・・・?遅くなりました、少佐。」
バトー「どれ!今回の失態が帳消しに出来る様な物かどうか見てやる。」
トグサ「驚くなよ。会心の出来だぞ。」

バトー「なんだ?こりゃあ。」
トグサ「え?」
草薙素子「貴方・・・とんだ所でとんだ記憶をかまされて来た様ね。」



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