the Cat Met with Special Boxes.

第21話 置き去りの軌跡 ERASER

おきざりのきせきLeft-Behind Trace

粗筋

トグサが持ち帰った貴重な情報により、笑い男事件の真相が次第に明らかになっていく。
本格的な捜査に乗り出す事になる9課。
そして草薙は、麻薬取締強制介入班の強化アームスーツとの戦闘を余儀なくされる。
義体の各部分が熱ダレを起こし、次第に出力の低下する草薙は、かつて無い程の危機を迎える事になる・・・


登場人物

用語

セリフ

草薙素子トグサ!」
医師「困ります。今は非常に危険な状態です。」
トグサ少佐・・・俺の記憶見てください。やっぱり厚生省です・・・頭、撃たれませんでしたよ・・・」
医師「挿管!」
看護師「はい!」
草薙素子「手術と並行して彼の電脳からここ16時間分の記憶を抜き出してくれ。」
医師「無理だ!」
荒巻大輔「やってくれ。我々には今それがどうしても必要なのだ。」

complex episodes:置き去りの軌跡 ERASER

荒巻大輔「どうだ?」
草薙素子「麻酔の影響でノイズが多すぎる。感情面での振幅迄入ってくるから、こっちの感覚にも影響が出るかもね。」
荒巻大輔「構わん。やってみよう。」
草薙素子「心拍数が異常に高いわね。」
バトー「あいつ・・・こんなに正義感丸出しじゃ、やられるに決まってるじゃねえか!」

荒巻大輔「ふぅ・・・」
草薙素子「状況を整理しましょう。トグサ授産施設からハッキングしていた輩がペーパーメディアを狙っていたと推理し、それを確かめる為に厚生省に通い詰めていた。」
イシカワ「そして奴は膨大な資料の中から失われたリストの存在を見つけた。」
荒巻大輔「それが村井ワクチンの接種者リストだな。」
イシカワ「ええ、はっきりしませんが、リストを必要としていたひまわりの会に足を運んだトグサはそこで襲撃に遭った。」
バトー「はっきりしてるさ!トグサをやったのは麻取だ。凶悪犯罪専門の強制介入班が民間人相手に虐殺を遣って退けたって事さ!」
草薙素子「目的はファイルの強奪か抹消?今来栖なる人物の名前の記載がこの顛末の原因、そんな感じだったわね。」
バトー「意味なんてどうだっていいだろう!んなもん麻取の連中をとっ捕まえてみりゃすぐに分かる事じゃねえか!」
荒巻大輔「記憶に影響され過ぎるな。既にメディアには改竄された情報が流されている筈だ。真実は消されている。少佐、この今来栖なる人物は?」
草薙素子「元中央薬事審議会委員長、今来栖尚電脳硬化症の権威で日本医師会会長。審議会の理事を退いた今でも厚生省と太いパイプを持つと言われる男ね。」
荒巻大輔「よし、少佐は今来栖の所へ行け。儂は強制介入班がどういった経緯で動いたか、そっちの線から当たってみよう。」
草薙素子「了解。パズサイトーは私と今来栖邸へ。バトーイシカワボーマと引き続き記憶の解析。」
バトー「ふざけんなよ!俺も麻取の捜査だろうが!?」
草薙素子「そんな顔で行って何するつもり?必要な時は呼ぶわ。」
バトー「じゃあどんな顔ならいいってんだよ!?」
イシカワ「少しは頭を冷やせって事だ。」
バトー「あれを見て冷めてろってのか!?」
イシカワ「今はトグサの記憶に当てられちまってる。いい判断なんだよ。」

荒巻大輔「失礼します。」
新美「何だね君は」
荒巻大輔公安9課の荒巻です。昨夜のひまわりの会掃討作戦は麻取の所長を飛び越え、貴方から直に命令が出ていたそうですが、その理由をお聞かせ願いたい。」
秘書「貴方失敬でしょ!」
新美「構わんよ。ちょうどその事で会見に出向く所だ。ひまわりの連中は狡猾でね。慎重に事を運ぶ為に強制介入班にしか知らせずに進めてきた作戦だった。只残念なのは奴等が徹底抗戦の構えを見せた為に、やむなく強行手段を取らざるを得なかったと言う事だ。全く建物に火迄放ってね。」
秘書「局長、そろそろ」
荒巻大輔「どうやら我々の出番では無い様ですな・・・しかし、一つだけ気になる事が。これは何かの偶然だと思うのですが昨夜あの現場に、内の捜査員が居合わせておりましてね・・・ではまた何れ・・・」

秘書「宜しいのですか?」
新美「放っておけ。態々出向いて来る内は何も出来んものだ。ゲイル!」

安岡「駄目ですなあ、どっかに出かけた後のようで。」
新美「公安が嗅ぎつけた。余り時間が無いぞ。」
安岡「公安?」
新美「9課だ。奴等より先に今来栖を押さえろ。」
安岡「あー、軍上がりの義体化集団ですな。となるとあれが必要になるかもしれません。以前からお願いしていた例の物が。」
新美「分かった。望み通りの物を手配する。但し、9課と接触した場合は証拠を残すな。」
安岡「了解。跡形もなく。」
新美(この状況でお前が裏切るのか・・・)

サイトー「酷いな。」
草薙素子「始まりの狼煙か・・・」
草薙素子:課長、遅かったわ。どうやら先客があったようね。
荒巻大輔:介入の仕業だな。だがその様子だと今来栖は既に逃亡していた。
草薙素子:恐らく・・・だとしたら何らかの通信手段を使う可能性が高い。
イシカワ:成る程。ここは一つ米帝の国家偵察局にお願いしてみちゃどうだ?
草薙素子:環衛星通信傍受網か。
イシカワ:ああ。
草薙素子:課長
荒巻大輔:良かろう。外務省には事後承諾させる。その位の貸しはCIAに前払いしてある。
イシカワ:了解。
イシカワ「ビッグ・ブラザーのお出ましだ。これで日本中の通信をリアルタイムで傍受出来る。」

ボーマ「来た。こりゃこのビルどころか半径1km以内の端末がダウンしかねない容量だ。」
イシカワ(セカンドバックアップは爺さん連中に頼むか。)

今来栖「くそ、終わりだ・・・逃げなければ良かったんだ。ファイルを盗んだのはお前なのに。これじゃあ私が裏切ったと思われても仕方がない。」
笑い男「これ位の状況にしないと、貴方も本気にならなかったでしょ?
今来栖「奴等はお前が思う程優しくは無い。」
笑い男ひまわりの会の人達には申し訳ないと思っています。でも僕はマイクロマシン医療の裏側で何が起きていたのか暴く迄はもう諦めないと決めたんです。」
今来栖「青いなお前は。あの時ワクチンを認可すれば、他の用途で研究が進んでいた電脳技術の成果迄否定され逆戻りしたのかも知れんのだぞ?」
笑い男「だからと言って正当な研究成果を踏み躙っていいと言う法はない。」
今来栖「それは違う!私だって何も闇雲に反対していた訳じゃない。データ不足さえ解消すれば、認可しようと言う立場だった。」
笑い男「では当時、マイクロマシン研究で後発だったセラノ・ゲノミクスの実用新案がたった3ヶ月で認可された根拠は何だったんですか?」
今来栖「あれは全て厚生省主導による既定路線だった。我々委員会はいい面の皮さ。」
笑い男「体のいい言い訳ですね。貴方が理事を務めていたマイクロマシン・インダストリー社もセラノ同様、書類の提出から1ヶ月で認可が下りている。それにより貴方方は電脳硬化症に対して何の効果も無い蛋白質の粒で年間1兆円もの利益を上げた。これは明らかに国家主導で行われた詐欺行為だ。そうとは知らず、効果を信じて医療費を払い続けて死んだ患者達に対しては、どんな言い訳をするつもりなんですか?」
今来栖「マイクロマシンだって、今はある程度の効果は上げている。硬化症抑止と言う観点からすれば決して悪い結果を招いた訳では無いだろ。」
笑い男「なら、何故貴方はマイクロマシンで自分を治療しないんですか?」
笑い男「貴方はこの憂うべき事態を止める事の出来る立場にいた只一人の人間だった。人の命を救うべき職に就きながら何故それをしなかったんですか?」
今来栖「私だって生涯を掛けて電脳硬化症を治療してみせると言う自負はあったんだ。それを村井に」
笑い男「先を越されてしまった・・・嫉妬ですか?貴方は村井ワクチン潰しの為に態々不認可の印鑑迄作らせたそうですね。その糞小さなプライドを利用して彼等は今の地位にのさばっている。」
今来栖「そこ迄知っていて私に何をやらせたい?お前なら私の電脳に侵入してゴーストごと乗っ取れるだろ?」
笑い男「それじゃ意味が無いんです。貴方の命がそのワクチンで延命されている今、自らの意志で事実を公表して下さい。残りの人生をいい人で過ごすか、死して尚悪人と後ろ指を指されるか、選ぶのは貴方だ。」
今来栖「笑い男・・・お前は一体何者だ?そこ迄正義感を剥き出しにするお前が何故あれ程の企業テロを起こして大金をせしめた?」
笑い男「僕は自分の事を、笑い男なんて名乗った事は一度もありません。それに・・・あの企業テロで金を奪った奴は他にいる。」
今来栖「まさか・・・!?」
笑い男「お察しの通りです・・・いいですか、彼等を法の下で裁く為には貴方の証言の他に、もう一つ手札がいる。僕が戻る迄絶対にここを動かないで下さい。いいですね。」
ホテルマン「う、うぅ・・・!あ、あ・・・あ!失礼しました。あ、あの何かご用件は・・・?」
今来栖「もういい、帰ってくれ。」
ホテルマン「失礼致しました・・・」
今来栖「ああ、君ちょっと・・・この近くに公衆端末はあるかね?」

医師「もう大丈夫でしょう。血圧も安定しています。」
トグサの妻「有難うごさいました。」
医師「いいえ。只、意識が戻った後でもし、身体や何らかの障害が後遺症が残る様でしたら、ある程度の義体化も覚悟して貰う必要もあります。」

男1「申し訳ございません、生憎の天気で・・・」
男2「今日しかスケジュールの都合が付かなかったしなあ・・・」

今来栖「私だ今来栖だ。助けてくれ。あんたから新美の誤解を解いてくれ。ああ例のゴルフ場だ。頼んだぞ・・・」

ボーマ「来た!流石はビッグ・ブラザー。」
イシカワ「まだ分からん。声紋検索に今来栖って単語が引っ掛かったただけだ。」

オペレータA「声紋検索。発信者、声紋と今来栖尚の声紋パターンを照合開始。発信者の使用端末ポイント検索開始。」
オペレータB「現在36%迄」
オペレータC「引き続き使用端末のポイント検索開始」
オペレータD「通信ポイントを特定」
オペレータE「通信経路を**開始」
オペレータF「推理可塑プログラムを」
バトー「おい、オペレータがどんどん落ちてるぞ」
イシカワ「バックアップは掛けてる。」

じいさん「おい!今日はついてるな!フィーバー#$%&¥!」
イシカワ電脳を借りる駄賃だ。」
ボーマ「悪だなあんたも。」
イシカワ「あんな爺さん達でも並列化すればパワーは稼げるからな。」
荒巻大輔「どうだ?」
バトー「たった今、今来栖らしき人物が端末を使用した場所を突き止めたとこだ。後は本人かどうかを特定する。」

秘書「局長、直通連絡です。」
新美新美です・・・本当ですか・・・はい・・・はい・・・いえ、至急処理致します。」
新美「ゲイルか。私だ。今来栖の居場所が分かった。港北カントリークラブだ。急いで迎え。」
新美「馬鹿が・・・泣きつく相手を間違いおって。」

イシカワ:場所は港北カントリークラブ。北側歩道の公衆端末に今から2分前に奴の姿が確認された。
バトー:当たりだ。
イシカワ:だが気になるのは通信相手で
バトー:場所が分かりゃいい!親父、少佐よりもこっちの方が早い。ヘリで出る!
荒巻大輔:よし、誰よりも先に押さえろ!

バトーイシカワ!今来栖をトレース出来てるか!?
イシカワ:その後別館の909号室に入った。今の所動きは無い。
イシカワボーマ、こいつをどう思う?こいつだ。」
ボーマ米帝の傍受リストの最優先事項に入ってるプロテクトナンバー?」
イシカワ「ああ、表向き存在しない事になっているが、この番号って与党本部じゃねえのか?」

班員「どうです?班長。海自の303式は。」
安岡「マリーンのはフォルムが流線的で芸術品だな。あとは連中さえ出てくれば実戦データが取れるんだがなあ。うん。」
班員「班長。目標の建物に向かうヘリを確認。9課と思われます。」
安岡「何だあ?いいタイミングだなおい。よーし、まずはお前等で今来栖を確保して見せろ。こっちはシステムの立ち上げに時間が掛かる。退路を塞いだら後はこっちに回せ!」

バトー「あれは・・・」

今来栖「ああ・・・」
バトー今来栖尚だな。警察だ。介入が向かってる。逃げるぞ。」
今来栖「く、来るなあ!」

草薙素子バトー、大丈夫か?
バトー:ああ、何とかな。だが挟まれた。
草薙素子:ヘリで脱出出来るか?
バトー:無理だ。こいつを連れてちゃな。
草薙素子:何とか持ち応えろ!もう着く!

バトー(姿を消しても存在自体を消せる訳じゃねえ・・・どう来る?)

バトー「ん・・・?少佐か!?」
草薙素子「退路は確保した。一旦ロビーに戻るぞ。行け!」

草薙素子「伏せろ!」
草薙素子「何だ!?」
バトー「ん・・・アームスーツ!?」
草薙素子バトー、私があれを引き付ける。
バトー:馬鹿言え。それこそ俺の役目だろう!
草薙素子:信用してない訳じゃないけどあれは止められない。上官命令だ。今来栖を連れて脱出しろ!
バトー:ちっ、しょうがねえ。お前こそやられるなよ!

パズ少佐、もう少しで到着します!

パズ「直撃でも抜けんか。」

草薙素子サイトー!そいつをよこせえー!」

安岡「おい待て、ハッチを開けろ・・・!よせえ・・・!」

安岡「く、苦しい・・・やめてくれえ・・・」

バトー「こっちだ。よし。」
バトー「こいつを早く乗せるんだ・・・ん・・・?馬鹿が。待ってろ。」

バトー「おい、二人共動くな!よーし、動くなよ。」

バトー「くっ、おい!今来栖!」
バトー:今来栖が撃たれた。救急車の手配を頼む。

今来栖「笑い男・・・それが、お前の正体か・・・」
バトー「何?笑い男だと?どういう事だ・・・!?このファイルは・・・!ん・・・?光学迷彩?いや、違う。貴様!俺の目を盗みやがったなあ!」

バトー「何処だ!?近くにいるのか!?・・・く・・・何処なんだあー!」



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