the Cat Met with Special Boxes.

【攻殻機動隊】第1話 再起動 REEMBODY

さいきどうReactivation

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中国大使館が「個別の十一人」と名乗るテロ組織によって占拠された。
特定のリーダーを持たない彼らの要求は、アジア難民受け入れの即時撤廃、及び、招慰難民居住区の完全閉鎖。
新首相・茅葺との交渉の末、無期限待機命令の解除を条件に、荒巻は9課を発動させる。
だが、与えられた時間は僅か15分。
果たして9課は人質に犠牲者を出す事無く事態を収拾出来るのか?

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草薙素子:どう思う?この状況。
バトー:思ってたより早かったな。奴等も馬鹿じゃねえ。事の重大さは承知してるだろう。
草薙素子:警察の対テロ活動の場合、此処からが長いのよね。往々にして。

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草薙素子:全員、脳潜入用意。
バトー:各自払いの防壁張っとけよ。
草薙素子「ふっ・・・」

草薙素子:今から23分前、重火器で武装した犯行グループが、このビルの46階にある中国大使館を占拠した。人質が何人居るか今の所不明だが、事件発生当時、少なくとも10名以上の職員が残っていた事が確認されている。同じくテログループの人数も不明。構成員の人数把握の参考になるかは疑問だが、奴等は犯行声明にて、個別の十一人なる組織名を名乗っている。
トグサ:大使館立て篭もりですか・・・これで9課への無期限待機命令が解かれるかもしれないって訳ですね。
草薙素子:公式に出動命令が出る迄はなんとも言えんがな。
トグサ:でその個別の十一人とやらの要求はなんなんです?
草薙素子:アジア難民の受け入れ即時撤廃、及び、国内に点在する、計5箇所の招慰難民居住区の完全閉鎖だ。
バトー:即効性の無い要求だな。ふざけてんのか?まあ、中国政府は大量発生したアジア難民の受け入れを回避する為に、出島への定期便を出しているから、今回はその迸りを食ったって訳か。
草薙素子:当たり前に思考するならな。だが真意が掴めない以上、断定は禁物だ。イシカワ、準備はどうだ?
イシカワ:施設内の設備には全てを張った。
草薙素子:所轄のフォーメーションは?
イシカワ報道管制以外に広域ジャマーを作動させている様だ。無線の使用には障害が出ている。電脳通信にもノイズが混じるな。館内のカメラは全滅。犯人は警察との交信を映像コード無しの電話回線のみで行っている。
草薙素子:よし。そいつにを張ったら偽装バンに戻れ。
イシカワ:了解。
草薙素子サイトーサイトー:予定のポイントに到着。ビルの窓は映像カーテンが張られ、中の様子は確認出来ない。カーテンの中和を優先する。
草薙素子:よし。残りの者は突入に備え待機。課長からの命令を待つ。但し、課長が上を説得出来なかった時は、ビルの監視業務を撤収し、ヌードバーで自棄酒だ。

内務大臣「問題は今回のテロが起きてしまった時期に在る。近く政府は、招慰難民対策特別措置法の廃案に伴い、流入の一途を続ける難民の受け入れの、無期限停止と、難民居住区の段階的縮小化を、施政方針演説にて発表する事になっていた。」
荒巻大輔「戦後初めてと言える難民を巡る大きな政策転換だけに、テロ行為に屈したと世論が傾く事はなんとしても避けたい。その為には犯人の要求自体がマスコミに洩れる前にテロを制圧する必要が在る。私が此処に呼ばれた理由も、そこ等辺りに在りそうですな。」
茅葺よう子「切れ者との噂は本当の様ですね。」
荒巻大輔「世辞で時間を潰す必要は在りません。自体は急を要しております。」
茅葺よう子「いいでしょう。単刀直入に申し上げます。私は次の国家審議会で公安9課を再建する予算を申請しても良いと考えています。しかし今回のテロを制圧するに当たって人質の中に犠牲者を一人も出さない事、これが絶対条件です。」
荒巻大輔「突入の命令さえ頂ければ、いつでも実現してご覧に入れましょう。」
内務大臣「まあ待ちたまえ荒巻君。今、大至急関係各省に連絡を入れて、特殊部隊法案の改定書類にサインをさせておる所だ。」
荒巻大輔「今から書類の作成を?そんな猶予が有るとお考えですか?」
内務大臣「申請無しで部隊を動かせば、仮に作戦が成功したとしても、マスコミの餌食になる事は目に見えとる。9課の解散劇から大して時間も経過していない。法案の臨時改定の申請許可が受理されない事には、君達の出番は無い。」
茅葺よう子「残念ですが、内務大臣の仰る通りです。書類が揃う迄待機していて下さい。」

イシカワ「どうだ?ん。」
バトー「まだなんにもねえよ・・・ったく、及び腰の内閣相手に俺達がテロリストに成りたい気分だぜ。」
草薙素子「本庁も与り知らない所で勝手に出動している無許可の武力集団。状況だけ見れば今のままでも充分テロリストよ。」
イシカワ「しかし皮肉なもんだな。薬島政権といわれた前政権にとって変わった茅葺内閣ってのは、これ迄の戦後民主主義路線に対する反動保守政権って言われてるんだろう?首相就任演説の時の公約に、難民政策の段階的停止も取り込まれていた筈だ。黙ってても今回の要求に近い政策は、実現されただろうが・・・」
トグサ:戦後復興期にこそ、難民に安価な労働力としての需要があった物の、国内の失業率は年々増加し、税率も高騰する一方だ。加えてその血税の一部が流入の一途を辿る難民政策に無闇に使われてるって現状が揃えば、痺れを切らした不穏分子が登場するのも、理解出来なくは無いっすよ。この国が国際社会で善人を演じる為に、9条問題のバーターで行ってきた難民受け入れの代償を払わされているのは、結局、納税者な訳だし。
バトー「実質的には難民の一部も納税者だがな。とは言え、自分達の労働機会を奪い兼ねない連中の生活を支える為の重税って認識が流布し始めたって事か。にしてもそれがテロに直結とは、随分短絡的だな。」
草薙素子「それを言うなら、強制解散させられていた私達が、警察の手に余る事件が起こった途端に召集されているって事自体、十分短絡的だと思うけど。今ごろ課長、内心腸が煮え繰り返る思いで、新政権の御歴々と接見してるんでしょうね。」
イシカワ「なのに内務大臣だけはお咎めなしの続投か。やってられねえなあ。」
草薙素子「今の内務省自体、国内各省庁のクッション役としてしか機能していない。大臣の首が挿げ替わっていないのは、何処からも脅威と思われていない証拠でしょうね。今迄はそれが、9課の隠れ蓑になっていた訳だけど。」
バトー「ふっ・・・」
草薙素子「そう言えば、この任務が無事成功した暁には、内に新人が数名入るって話、聞いてる?」
バトー「新人だあ?」
トグサ少佐、俺が言うのもなんですけど、今さら9課の任務に付いて来られる奴が早々居るとも思いませんねえ。
草薙素子「ま、それもこの任務が思惑通りに遂行されたらの話だけどね。」
サイトー少佐映像カーテンは中和したが、ブラインドで更に目隠ししてやがる。セオリーに忠実な連中らしい。
草薙素子イシカワを仕掛けた電話回線にバイパスを通せ。中にいる奴の目を借りて、状況を出来るだけ把握して置く。」
イシカワ「分かった任せろ。」

イシカワ「良うし捕まえた。」

テロリスト1「どうした?」
テロリスト2「いや、おかしいな、警察からじゃなかった。」
テロリスト2「う、う、ううう、う・・・う、う・・・うう・・・」
草薙素子:成る程ね。
草薙素子:なんだ?

SWAT隊員1「ああ・・・ああああ・・・うっ・・・」
テロリスト1「斥候なんぞ出しやがって、交渉の時間を早めたいらしいな。」

SWAT隊員2「通信途絶えました。」

草薙素子:仲間は全部で9人。リーダーはどいつだ?
テロリスト2「ううう・・・」
草薙素子「こいつ電脳化以外、体は生か・・・」

秘書官「総理!」
茅葺よう子「何事です?会議中ですよ。」
秘書官「今し方大使館から連絡が在り、警察の突入部隊と、テロリストが接触し、双方に負傷者が出た様です。」
茅葺よう子「なんですって?発砲許可は出していない筈ですよ。」
秘書官「内部の情報を得ようとして、突発的に銃撃戦が起こった様です。しかも悪い事に、警官の1人が人質になり、1時間以内に要求を受け入れる旨を公式に発表しなければ警官を、その後10分毎に人質を1人ずつ処刑して行くとの宣言が在りました。」
茅葺よう子「徒に事態を悪化させたと言う訳ですね。」
荒巻大輔「事態は一刻を争う状況です。今こそ臨機応変な決断をお願いしたい。メディアに対する報道管制も長くは持たんでしょう。ゲリラ的なローカルネットに書き込みでも開始されてしまえば、この作戦の意味は消失する。」
茅葺よう子「書類はまだ揃わないのですか?」
議員「申し訳有りません・・・」
荒巻大輔「総理。では、こう考えてはどうでしょう。今回のテロは飽く迄も警官隊の突入に拠ってのみ解決する。その筋書きを崩さなければ、今すぐ総理1人の決断で突入命令を出せるのでは?我々は警察の作戦行動の影で極秘裏に任務を遂行します。総理には我々の行動を事後正当化出来る書類を、その間に揃えて置いて貰う貰う必要は在りますが。」
茅葺よう子「それは約束出来ますが、万が一貴方方がテロ制圧に失敗した場合は?」
荒巻大輔「成功を確約する事は出来ますが、我々を信用して頂く以外に、それを証明して見せる手段が無い。如何しても迷いがお在りでしたら、以後、公安9課の行動は全て私の独断に拠って遂行された事にして頂いて結構。私一人を裁判に掛ければ済む事です。世論が政府の責任を問おうにも誰一人その事実を知らなかった訳ですからな。違いますか?」
茅葺よう子「いいでしょう。」
内務大臣「総理!」
荒巻大輔内務大臣、大至急警視庁長官に連絡を取って頂きたいのですが。」
内務大臣「んん・・・分かった。」

荒巻大輔少佐
草薙素子:動きが在った様ね。
荒巻大輔:今からきっかり15分後に、SWATが大使館内に突入を開始する。それ迄に先回りして館内に潜入し、テロリストを捕獲しろ。止むを得ん場合は射殺を許可する。人質の救出が最優先事項だ。突入の人選は一任する。
バトー「15分!散々待たしといて、随分気安く言ってくれるじゃねえか!」
草薙素子サイトー、ヘリを一旦戻せ。皆聞いての通りよ。内部の状況は見ての通りだ。テロリストの人数は9名、内1人は死亡。建物の構造と位置関係を頭に叩き込んで置け。作戦所要時間は最大で10分。SWAT突入迄の時間が短いのは、課長の信頼が厚い証拠だと思え。
トグサ「やれやれ・・・」

バトー「突入の人選は?」
草薙素子バトートグサパズサイトーとのツーマンセルで行け。SWATとは別のルートで館内に潜入する。
草薙素子「エレベーターを使って堂々とな。」
草薙素子:お前達は先に出ろ。こっちは下準備をしてから向かう。
バトー「了解。」

SWAT隊長「15分後に突入?中の状況も掴めていないのに、上は一体どういうつもりなんだ?」

SWAT隊員1「ぐあ・・・!ぐ・・・」
テロリスト3「他の突入ルートは何処だ?」
SWAT隊員1「う・・・お、屋上と・・・非常階段・・・」
テロリスト4「人質の半分を非常階段に回そう。」
テロリスト5「そうだな。」
草薙素子(妙な連中だ・・・誰が指揮を取るとも無く役目をこなしているが、組織性が無い。こいつにしても、大した防壁がある訳でも無いのに、グループに関する情報が見当たらないし・・・)

テロリスト4「立て。」
バトー少佐、これから中に入る。
草薙素子:よし。ぎりぎり迄引きつけて、内乱を誘発させる。その後は1人1殺、間違っても人質には当てるな。

大使館員1「あぁ・・・!うぅ・・・」
テロリスト3「ちゃんと立ってろ。」

テロリスト6「エレベーターが動いてるぞ!」

テロリスト3「ん・・・?俺が行く。人質を見てろ。」
テロリスト5「んん・・・」

テロリスト7「ん・・・?」
テロリスト2「あ、あ、あ、あ・・・」
テロリスト7「なんの・・・おおっ!?」
テロリスト3「うああ!」
テロリスト8「何してる!?ぐあっ!」

草薙素子バトー!1人撃ち洩らした!」
バトー:分かってるよ。

テロリスト8「ぐあ・・・!」
SWAT隊長「突入を早めるぞ!」

テロリスト4「おいお前。来い!」
大使館員2「いやぁ・・・!」
大使館員1「ひっ・・・!」
大使館員2「やぁ・・・」
大使館員2「はあぁ・・・!」
テロリスト4「ぬぅ・・・!」
トグサ「糞っ・・・」

バトー「ふんっ。」
テロリスト8「ぐあっ!」
バトー「ぬあぁ!」

テロリスト4「はぁ・・・はぁ、はぁ・・・うっ・・・」
テロリスト4「おい、仲間・・・」
サイトー少佐、突入が早い!

トグサ:糞っ・・・SWATが邪魔だ!

テロリスト4「我々は個別の十一人。此処で我々が倒れ様とも、個別の自我が我々の意志を引き継ぐ。拠って我々にとって、死は意味を持たない!」
草薙素子:あらそう。じゃあ死になさい!
SWAT隊員「窓の外だ!」

茅葺よう子「今回の件、本当に良くやってくれました。申請予算を全面的に受け入れ、部隊を再建、運営して行く事を許可します。これが書類です。」
荒巻大輔「有難う御座います。」
茅葺よう子「貴方が突入を指揮した隊長さん?」

草薙素子「嫌味の一つも言わないなんて課長らしくないわ。相手が女だったから?」
荒巻大輔「罵詈雑言をぶつける相手は彼女では在るまい。それに、口にしかけた嫌味を呑み込んで腹を壊したと言う話も聞かんしな。」
草薙素子「でもああいうトップは厄介なんじゃない?飼い犬には必ず首輪を付けたがる手合いよ。それに今度の突入命令にしても、自分の責任は回避して、課長から上手い解決策を引き出したと考えられなくも無いし。」
荒巻大輔「確かに連合与党が担ぎ出した只のお飾りではない様だが。とりあえず今は9課再建を素直に喜ぼうじゃないか。」
草薙素子「そうね。」

バトー「おお、遅かったな。申請予算は通ったのかよ?」
草薙素子「全面的にね。トグサ、あの状況下で良くやった。腕を上げたな。」
トグサ「有難う御座います。」
草薙素子「これで新人が入って来ても恥を掻かずに済みそうだな。」
バトー「お、そうだ!その新人ってのは?」
荒巻大輔「ん。紹介しよう。入れ!」
バトー「おっ!?」
タチコマ「ハジメマシテ、タチコマデス。」
バトー「お前・・・」
タチコマ「くふ、くくく・・・ばあー!冗談ですってばバトーさん!吃驚したあ?ねえねえ。」
タチコマバトーさーん!」
タチコマバトーさーん。」
草薙素子「ラボで構造解析されたタチコマを復元したの。今日から9課の一員だ。」
タチコマ「やったー!」
タチコマ「そーゆー事。宜しくね!バトーさんっ。」


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※1:reembody 再具象化、再統合の意。

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