the Cat Met with Special Boxes.

第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE

どようのよるとにちようのあさSaturday Night and Sunday Morning
だいさんわ どようのよるとにちようのあさ きゃっしゅあい

粗筋

キャッシュアイ。
最近、企業を脅かしている凄腕の窃盗団の名前だ。
予告状を送られた田所商事の田所会長は、公安9課に警備を依頼する。
その依頼を何故か快諾する荒巻。
予告状で指定された日時は田所主催のパーティー開催日だ。
妖艶なドレス姿で乗り込む草薙と、その姿を好色に満ちた眼差しで見つめる田所。
はたして、草薙と9課の真意はなんなのか・・・


登場人物

用語

セリフ

dividual episodes:土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE

田所「やあ。よく来てくれたな、荒巻君。」
荒巻大輔「やむを得んでしょう。そうするよう、総理をけしかけたのは、田所会長、貴方だ。」
田所「まあ、そう怒らんでくれ。例の電子マネー盗難事件以来、県警も警備会社も信用出来なくなっていてね。」
荒巻大輔「早速ですが、用件を聞きましょう。」
田所「ん、ああ、実はな・・・例のハッカー、そう、何と言ったかな・・・?名前は確か・・・」
荒巻大輔キャッシュアイ、でしたか。」
田所「そうそう。そいつから昨日、こんな予告状が届けられた。私はあれ以来全財産を現金で保管する事に決めた。だから今、私の全財産は全て、このビルの地下金庫にしまってある。」
荒巻大輔「成る程。ある意味で一番安全な防衛手段かも知れませんな。」
田所「儂もそう思っていた。だが、ゆうべ奴は女性型アンドロイドを遠隔操作し、見たまえ、易々とこの部屋に侵入しておきながら、わざと防犯カメラを破壊し犯行を気付かせ、50階の窓から飛び降りて脱出している。」
荒巻大輔「物理的な防衛手段では盗難は防げない、と言う意思表示ですかな。」
田所「その様だな。」
荒巻大輔「お話を伺う限り、やはりこれは我々の出番ではないでしょう。少数精鋭の9課より物量に勝る県警に迷わず通報したほうが賢明ですな。」
田所「それが、そうもいかんのだよ。犯行予告の日時、つまり明日の夜には、政財界の大物を集めたある秘密のパーティが開かれる。」
田所「いや・・・もちろん非合法なパーティではなく、個人的趣味性に拠ったパーティなのだが、無粋な連中がうろうろしていいものでもないのだ。しかも、会場の変更も延長も出来ん性格の代物でねえ。分かるだろう。この様な所で国が動く事もある。だから、話の分かる男が必要なのだ。警備の増強は、警備会社の人間で賄う。しかし問題は、現場を仕切れる人間の質なんだ。」
荒巻大輔「上からの命令である以上、断る事は出来んようですな。」
田所「何を言う。総理が何故君を推薦したか、よく解ったよ。白い血が匂ってきそうじゃないか。」
荒巻大輔「彼女はアンドロイドではありません。」
田所「これは失礼。だが、汎用性の全身義体アンドロイド同様、無機的な身体へのリビドー※1をかき立てるな。」

草薙素子「彼の事、相当嫌いなんでしょうね、茅葺総理。」
荒巻大輔「個人的な心象はともかく、思う様に立ち行かない改革を断行する為にとった行動だ。前政権の亡霊を払拭する為にも、正しい一手ではある。」
草薙素子「女の恨みは恐ろしいわねえ。その片棒を担がされるのもいい気はしないし。休暇を返上させられて迄やる仕事とは思えないけど。」
荒巻大輔「すまんな。だが、明日はもっと腹が立つ事が山盛りだ。途中でキレるなよ。」

サイトー:見えるか?
バトー「見えてるよ・・・おい、今のは、ハンカ精機の重役じゃねえかよ。」
トグサ「しっかし、政財界の顔役共が、嫁に隠れてダッチワイフの自慢パーティとは恐れ入るな。」
サイトー「おっと、今度は元外相の登場だ。懲りねえな。」
パズ:まったく・・・
ボーマ:へこむねえ・・・
パズ:おい、課長と少佐を乗せた車のご到着だ。すっごいもんが拝めるぞ。

ボーマ:へこむね・・・

トグサ「おいおい。親父の奴、予定より張り切ってんじゃないの?」
バトー「同感。にしても少佐、フリーク共にモテモテじゃねえか・・・おあ!今、尻触られたぞ。」
イシカワ「知らぬが仏ってか?よぅし、地下金庫へのパスポートは少佐に任せて、こっちも準備に入るぞ。」
バトー「おおう。」
トグサ「俺達もパーティ会場に赴きますか。」

イシカワタチコマ、準備はいいか?
タチコマA「準備完了です!」
タチコマB「こちらも完了!」
イシカワ:よし、少佐からの合図を待て。

田所「的確な判断だよ荒巻君。見事なカモフラージュだ。」
荒巻大輔「他の部下もパーティの進行に支障が無いよう、既に配置についております。」
田所「まあこの警備体制だ。仮に賊が金庫室に辿り着いたとしても、現金を全て運び出せるとも思えんが、今迄の経緯もある。必ず犯人を捕まえてくれ。」
荒巻大輔「分かっております。」
田所「犯行予告時間迄、パーティに参加していてくれ。どうかな君、少し内情を見て回るかね?」
草薙素子「喜んで。」

荒巻大輔イシカワ、どうだ?
イシカワ:ちょっと不味い事になってます。田所の地下金庫は、数日前に保安設備を増設した可能性があります。メーカーのサーバーを洗いましたが、新規に施設した部位の設計図は全て廃棄済みでした。随分と徹底した情報管理がなされています。恐らく、ペーパーメディアですら残ってはいません。
荒巻大輔少佐は田所の網膜と電紋パターンの採取に向かったぞ。
イシカワ:仮にそれを手に入れたとしても、肝心の扉を開けられなかったら水の泡。何とか別の方法で開け方見つけ出しますよ。
荒巻大輔:急げ!

田所「珍妙な趣味だと笑うかもしれんが、あらゆる快楽を体験しきった我々が最後に行き着いたのは、人形へのフェティシズム※2だった。どうだ、どれも有名デザイナーにパーツから作らせたオートクチュール※3だ。ボディは君の義体と然程変わらぬ機能を持っている。試しにどれか乗り換えてみる気はないかね?」
荒巻大輔少佐、どうだ?
草薙素子「これって立派なセクハラね。」
田所「おー、スマンスマン。つい、いつもの癖がなあ・・・しかしそのボディ、一見汎用型だが、相当に細部迄作りこんでいる様だねえ。皮膚触素は16の二乗かな?」
荒巻大輔:今は我慢だ。
草薙素子:一々感じてられないから、感覚器官切ってあるけど。
荒巻大輔:フッ、そうか。
田所「どうかね?試しに。」
荒巻大輔:そろそろ、作戦を開始しろ。
草薙素子「分かったわ。もしかして貴方、中身の無い私の身体を抱きたいのかしら?」
田所「私の様な人間の趣味をよく理解してくれている様だねえ君は。んん。」
草薙素子「逆に意識のある人間を、そのまま人形の様に扱ってみたいと思わない?」
田所「うへへ・・・」
草薙素子「感覚器官をオンにしたまま、身動き一つしないでいてあげる。」
田所「おー・・・!おおー・・・ははは・・・ううぅ!」
草薙素子「悪いわね。このまま続けて心臓麻痺を起こされても困るから、続きは夢の中で・・・」
草薙素子:課長、網膜と電紋パターン入手に成功。
荒巻大輔:よし。第二段階に入るぞ。
草薙素子:了解。

草薙素子バトートグサ、そっちは?
バトー:今からだ。

バトーイシカワイシカワ:任せろ。

警備員「おい、ここは・・・」
オペレーター「特別に、田所さんから言われて来ました。」
警備員「ん?」

イシカワ:モニターの切り替え完了。いいぞタチコマ
タチコマA「当然です!」

警備員「止まりなさい。」
警備員「うっ・・・!ああ・・・」
バトー「よぅし。あとは少佐か。」
草薙素子:もう来てるわよ。
バトー「ん?」
トグサ「お。」
バトー「取れたのか?」
草薙素子「当然!」

トグサ「どうせなら、田所ごと脳潜入して連れてくればよかったのに。」
草薙素子「そうも行かないのよ。彼には、他にもやって貰う事があるから。」

トグサ「あのシステムは切れないのか?」
イシカワ:そいつは、独立したシステムになっていてな、無理にシステムを破壊すると、いっぺんに管理センターにばれちまう。
草薙素子:それは大した問題じゃないわ。あとは金庫の扉が開けられるかどうかだ。
イシカワ:何とか調べ上げた。田所ビルに搬入された資材の規模から割り出した金庫の状況だが、敢えて旧式の錠前を四重に組み合わせたアナログ式の金庫だろう。
トグサ:やっぱり、田所ごと連れてきた方が・・・
バトー:今更そうもいくまい。
草薙素子イシカワ、コードBでどうだ?
イシカワ:ああいけるだろう。今準備している爆薬で、十分金庫の支柱を焼き切れる。だがその時点で犯行が発覚するぞ。
草薙素子:止むを得まい。
イシカワ:もう一つ問題なのは、仮に扉を破って中に入ったとしても、そのあと金庫にどういう仕掛けがしてあるか分からない事だ。二重の防壁がないとは限らんぞ。
草薙素子:虎穴に入らずんば虎子を得ず。現金を盗み出す事が目的じゃないんだから構わないわ。
バトー「よし、コードBで行こう。だが、俺達はこっから先は付き合えねえ。気を付けろよ。」
草薙素子「お気遣いどうも。じゃ、行ってくるわ。」

トグサ「ふぅ。」
バトー「俺達も次の支度だ。」

田所「う・・・うう・・・」
荒巻大輔「こんな所におられましたか?」
田所「荒巻君・・・うぅむ、もうこんな時間か。パーティは?」
荒巻大輔「滞りなく。そろそろ犯行予告の時間です。」
田所「そうだな。何事も起こらん事を祈るが。」
パズ「課長。制御室に急いで下さい。どうやら、賊が潜入したようです。」
田所「何っ!?」

タチコマA「そろそろかしらー?」
草薙素子タチコマ!準備は?
タチコマA「待ってましたあ!いつでもOKでーす!」

田所「自家発電に切り替わったか。」
荒巻大輔「急ぎましょう。」
田所「うむ!」

トグサ「皆さん!心配には及びません!ですが、こういった趣向のパーティです。何かあってはいけませんので、我々の指示に従って急ぎ退出をお願い致します!」

警備員「これを見て下さい。」
田所「こいつは昨日の!どうやってあそこ迄?」
荒巻大輔「至急、私の部下を向かわせます。」
田所「いや待て。奴は金庫の扉を破って入るつもりらしいが、どのみち袋のネズミだ。」
荒巻大輔「と、いいますと?」
田所「あの金庫は私以外の人間が入った場合は二重の防犯扉が閉まり、私の持つゴースト錠以外では二度と開かない様になっている。」
荒巻大輔ゴースト錠・・・」
田所「それより君達は、奴を遠隔操作しているハッカーを見つけ出したまえ!捕えるべきはそいつだ!」
バトー「課長。どうやら奴は独立したAIか、完全義体の持ち主のようで、リモート電波を受信している形跡は一切ありません。」
田所「と言う事は、こいつがハッカー本人。」
バトー「はい。しかも先程、この様な予告状が再び。」
田所「ん・・・!?荒巻君!今から君は私と共に金庫室に行き、奴の死が正当防衛であると言う事を確認してくれ。」
田所「金庫内は密室になり、一定時間真空に近い状態が作られる。奴がサイボーグだったとしても、生きてはいられまい・・・なにをぐずぐずしている!」

バトー:課長。少佐は・・・
荒巻大輔:うむ・・・

田所「どうした!見つけたか?」
荒巻大輔「見当たりませんな。」
田所「そんな事があるか!よく捜せ・・・!ん?」
草薙素子「遅くなりましたわ。田所会長が余りにも凄いものですから。」
田所「あ・・・いや・・・」
荒巻大輔少佐、どうやって?
草薙素子:中に入った様に見せたのは、タチコマに作らせた擬似映像よ。
タチコマA:えっへん!
荒巻大輔「ところで田所会長。」
田所「ん?」
荒巻大輔「ここに積み上げられた札束は、貴方の金庫に入っている以上、全て貴方のものである事は間違いありませんか?」
田所「当然だろう。何を言ってるんだ。」
荒巻大輔「調べろ!」
田所「何をやっている!そんな事より、こそ泥の死体を捜したまえ!」
荒巻大輔「田所会長。我々の真の目的は、貴方自身にこの金庫を開けさせ、中にある札束の通しナンバーを確認する事にあったのです。」
田所「んんっ!?」
荒巻大輔「薬島元幹事長の隠し財産の残りを貴方が管理していると言う情報を受け、我々はその内偵を行っていました・・・少佐。」
草薙素子「国税局が手配していた通しナンバーよ。」
荒巻大輔「申し開き出来る状態ではありませんな。これから貴方にはじっくり伺いたい事があります。ご同行願えますかな?」

トグサ「急いでください。」
荒巻大輔:そっちはどうだ?
イシカワ:ちゃんと泳がせてますよ。こいつ等を手繰れば、隠れた金脈がまだまだ出てくる可能性がありますからね。

タチコマB「この人達ってエッチな人なの?」
タチコマC「ていうより、趣味の人かな。」

ニュース「元経団連会長で、政界にも太いパイプを持つといわれる田所ツトム氏が、巨額の脱税と、不正資金洗浄疑惑で逮捕されました。」
草薙素子「怪盗ごっこも、楽しかったわね。」
バトー「フッフ。しかし、一瞬冷やっとしたぜ。あのまま少佐が真空パックにされるのかと思ってよ。事前に手の内を知らせとくのがチームプレイってもんだろうが。」
草薙素子「あら。泥棒稼業は、騙し騙されが鉄則よ。」
バトー「フフッ・・・ん?」
荒巻大輔「いつ迄怪盗気分に浸っておる!仕事は山積しておるぞ!」
草薙素子「本気で転職考えようかしら・・・」


脚注
※1:libido 精神分析で、人間に生得的に備わっている衝動の原動力となる本能エネルギー。フロイトは性本能としたが、ユングは広く、全ての行動の根底にある心的エネルギーとした。
※2:fetishism 異常性欲の一。異性の髪や衣類・装身具等を性的対象として愛好するもの。
※3:haute couture 高級衣装店。特に、パリの高級衣装店協会加盟店。また、その店で作られる高級注文服の事。フランス語。

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