the Cat Met with Special Boxes.

【攻殻機動隊】第4話 天敵 NATURAL ENEMY

てんてきNatural enemy

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演習中の陸自ヘリ「ジガバチAV」が暴走を始めた。
パイロットは意識不明で、自立AIは外部からのコントロールを拒否している。
誘われたかの様に次々と集まってくる、無人のヘリ達。
そして、出動した9課の指揮を執るべく現れた、内閣情報庁戦略影響調査会議代表補佐官のゴーダ。
果たして、暴走ヘリの目的とは?

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管制官「全部隊、目標の建物を認証。作戦コードIS。繰り返す、作戦コードIS。」

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管制官「全部隊に告ぐ。武装難民は思考戦車を所有、注意せよ。繰り返す、武装難民は思考戦車にて武装、注意せよ。」
管制官「J1、コードISにて機動部隊を支援、ターゲットを発見し次第、破壊せよ。繰り返す、ターゲットを発見し次第、破壊せよ。」
J1パイロット「了解。演習とは言え、一度位は本物をっ飛ばさなきゃな。」
管制官「J1、心拍数が標準値を超えているが、問題無いか?」
J1パイロット「大丈夫だ・・・問題、無い・・・」

隊員「全部隊目的地に到着。」
隊員「RD降下完了。」
隊員「SD降下完了。」
隊員「WR降下完了。」
隊員「SJヘリ、ワイヤーにて降下。」
隊員「SWワイヤーにて降下開始。」

隊員「ゴーゴーゴーゴー!」

隊員「G2、目標を制圧。」
隊員「G3、目標を制圧。思考戦車は確認出来ず。」
隊員「同じくG4、武装難民を制圧。戦車の存在は確認出来ない。」

J1パイロット「ターゲット確認!」
J1AI「機体がロックオンされました。」
J1パイロット「野郎!」
管制官「J1、心拍数が平常値を超えている。大丈夫か?」
J1パイロット「黙ってろ!模擬弾だとしても警告音鳴らされて平静でいられるか!」
J1パイロット「むーらあ!」

J1パイロット「がはっ!」
管制官「J1、どうした。心拍が停止しているぞ。」

管制官「緊急事態発生。J1パイロットがなんらかの原因により、コクピット内で死亡した模様。現在、支援AIにより自動操縦に切り替え飛行は安定、墜落の危険はゼロ。」
管制官「HA-01 AV、コードISを解除、至急本艦に帰投せよ。繰り返す、コードISを解除して至急本艦に帰投せよ。」
管制官「全部隊に告ぐ、緊急事態発生。これは訓練ではない。J1のパイロットがなんらかの理由により機内で死亡した模様。万が一に備えてコードISを解除、コードSAにて退避行動を執れ。繰り返す、コードSAにて退避行動を執れ。」
管制官「HA-01 AVのコードISが解除されません。操縦者生命維持反応は今もオールグリーン。心停止が確認されていますが、電脳の生存信号がある為にAIが管制からの信号を無視。パイロットの保護を優先し、退避行動を外部からの攻撃と判断している様です。」

隊員「おい、ジガバチが・・・!」

荒巻大輔久保田。」
久保田「荒巻・・・」
荒巻大輔「事態は急を要している様だな。」
久保田「ふん、そこに犯罪の可能性があれば、首を突っ込まずにはおられん、と言う事か?」

久保田「今の所マスコミには開発機の空中給油訓練だと伝えてはいるが・・・実の所、政府が近く実施する難民政策に伴い、此処3年の内では最も大規模且つ極秘裏に行われていた実弾演習だったそうだ。」
荒巻大輔「問題のヘリは米帝との安保に絡み、癒着が取り沙汰されていた思考ヘリではないのか?」
久保田「それがそうではないんだ。陸自もマスコミの攻撃を恐れて、自前の機体を改良したAI支援型の機体、通称ジガバチAVで演習に臨んでいたらしいんだが、飽く迄不慮の事故でパイロットが死亡した為に起きた事が原因と見ている。」
荒巻大輔「それにしちゃあきな臭い事態に陥り過ぎていやせんかね?」
久保田「ふっ、敵わんなあ。で?お前の所では何処迄掴んでいるんだ?」
荒巻大輔「実弾演習中の支援型対戦車ヘリのパイロットが演習中に倒れたのが午前5時57分。その後支援AIの自動操縦により事無きを得たかに思えたヘリが、管制からのコード解除命令を無視。そのまま招慰難民居住区上空に飛び去ったのが6時3分。更にその後AIにより空母上の同型機2機と空中給油機を同時にハッキング、計3機が空母から飛び立ったのが6時12分。各機はそのまま難民居住区上空にて合流。今も電波塔の上を旋回していると言う事らしいな。」
久保田「概ね正解だ。」
荒巻大輔「更に淡路駐屯地から2機、和歌山駐屯地から3機の同型ヘリがオンライン誘導により無人のまま飛び去ったと言う未確認情報もある。」
久保田「それも正解だ。連絡を受けた各基地では直ちに同型機のAI自閉モードに切り替えたのだが、対応の遅れた伊丹からも更に2機のヘリが後を追う様に飛び立ったそうだよ。」
荒巻大輔「支援AIを標的にした電脳テロの可能性は?」
久保田「軍の防壁を突破してか?情報部もテロの可能性を示唆し、支援AIの開発スタッフ全員の身柄を既に拘束して調べを進めてはいるが、何も見つかってはいない。」
荒巻大輔「隊内の撥ねっ返りによる武装蜂起の可能性は?」
久保田「それもあるまい。個別主義者共の影響でもあるまいし。寧ろ以前マスコミの槍玉に挙がったスターバト・マーテルなる快楽集団に入信していた隊員らの犯行かとも勘繰った位だよ。」
荒巻大輔「それも無しか。」
久保田「今は事故の線でなんとか事態を収拾しようと上は躍起になってる。幸い攻撃ヘリは電波塔の上空を旋回しているだけだしなあ・・・」
荒巻大輔「それだけで、済めばいいがな。」
久保田「難民、か?」
荒巻大輔「うむ。」

荒巻大輔:だそうだ、少佐草薙素子:こっちで掴んでいた情報以上でも以下でも無いわね。でも現場は県警の機動隊に抑えられてるみたいよ。ぼちぼち騒ぎ始めた難民だけじゃ無く、事態を収拾に来た陸自の機動部隊も締め出されている様ね。難民居住区を体を張って管轄して来たのは自分達だって主張らしいわ。
バトー:情けねえ!末期だな。
草薙素子:一応飛行中に死亡したとされるパイロットの自宅をトグサイシカワに洗わせてるけど、あたし達はどうすればいい?もうすぐ難民居住区に到着するわよ。
荒巻大輔:今は現場に近づいて待機。この一件が我々の出番になるかは総理の最終判断を待つ。
草薙素子:了解。

久保田「俺が喋った事、口外するなよ。お前とこうしている所を誰かに見られただけでも厄介なんだ。」
荒巻大輔「なんだ、まだ出世願望を捨て切れずにいるのか?」
久保田「済まんが、俺はお前と同じ様には生きられんよ。失礼する。」

合田一人公安9課の荒巻さんですね。」
荒巻大輔内閣情報庁戦略影響調査会議代表補佐官、ごうだ、ひとり?」
合田一人「ごうだかずんど。中々ちゃんと読んで頂ける人に出会わない。さして変わった名前とも思わないんですがね。ですが、今となっては中々いい名前だと思ってる。なんせ一度教えれば大抵相手の記憶には残りますからね。特にこの顔とセットで。」
荒巻大輔「で、その内閣情報庁が儂に何か用かね?」
合田一人「はい。今起きている事件について貴方方、公安9課のご協力を仰ぎたいと考え、失礼だとは思いましたが直接出向きました。」

合田一人「ご存知かとは思いますが、我々内庁は官房長官の下、国内外の情報収集、分析、時には世論操作等を主要な活動としている機関です。今回の件は官房長官直々の命令と思っていただければ有難い。なんせ首相の危機管理能力では即断即決は望むべくもありませんから。」

草薙素子「あれにはどれ位の給油能力がある?」
バトー「昔とスペックが変わってなけりゃあ、車なら6年連続、大飯食らいのジガバチですら10時間ぶっ通しで飛ばせるだけの燃料は積んでる筈だ。ま、ああやって全ての機体に分け与えている様だから、単純計算1機ずつをあと1時間は飛ばせる筈だ。」
草薙素子ジガバチの航続時間が通常2.5時間として、既に奴等が飛んでいられる限界は1時間を切ったと見るべきか。あのポリタンクが最初に墜落する可能性は?」
バトー「それはない。ハナムグリは一番最後だ。自分はどんどん身軽になってる訳だからな。航続時間も伸びるって寸法だ。」
タチコマ1「ねえねえバトーさん。あいつ等って僕等とおんなじAIなんでしょ?」
バトー「ああ?いや、飽く迄人間様が乗ってる事を前提にした支援型AIって聞いてるがなあ。」
タチコマ1「とは言え今は無人の上自分で思考して飛んでる訳でしょ?」
タチコマ2「あいつ等よっぽど与えられた労働条件が気に入らなかったんだな。」
タチコマ3「軍隊ってそんなに労働条件きついの?根暗なAIってほんと切れるの早いんだからあ!」
タチコマ1「でもそんな彼等とは命令如何で戦わなくてはならない?」
バトー「そういう事だ。」
タチコマ2「対戦車ヘリって僕達の天敵に当たる訳だよねえ。」
タチコマ1「バトーさんバトーさん」
バトー「なんだ?」
タチコマ1「僕達お中が痛いんで帰っていいですか?」
バトー「腹って何処だよ?」

草薙素子陸自の奴等、近付き過ぎたな。支援AIに潜ろうとしてしくじったか。」

トグサ陸自のパイロットの給料ってのは、結構安いのかねえ?」

草薙素子「課長、どういう事?態々現場に来るなんて。総理の手綱は外れなかったって事?」
荒巻大輔少佐、説明しておこう。彼は内閣情報庁のエージェントで」
合田一人戦略影響調査会議のゴーダです。」
荒巻大輔「結論から言おう。これよりこの事件を解決するに当たり、我々公安9課が全面的に現場の指揮権を委譲される事となる。だが今回の作戦は全て彼の立てた方法に沿って施行して貰いたい。」
バトー「親父!正気かよ!?俺達は何も政府の飼い犬になる為に9課に残った訳じゃないんだぞ!」
合田一人「我々の計算ではあと48分後には1機目のヘリが難民居住区に墜落する。そうなってからでは取り返しがつかない。これは既に明らかなテロだ。どうするね?」
草薙素子「いいわ、聞きましょう、貴方の作戦。」
合田一人「素直でよろしい。」

バトー少佐、あいつの言う事全面的に信用したとして、何故承諾した?
草薙素子:パイロットの突然死とAIの暴走が仮にテロで無かったとしても、あれが墜落すればこの一帯に一定の被害を及ぼす。そうなった時、難民の動向が危険な火薬庫にならないとは限らない。それに奴からの情報無しでは元々打つ手は無かった。
バトー:俺が言いてえのは、俺達の立ち位置の在りようって事で・・・!ま、いい。

草薙素子サイトー、準備は?
サイトー:出来てる。
草薙素子:よし。

バトー:動くものは見境無く攻撃して来るって事か。
草薙素子:始めるぞ。

草薙素子:よし、行くぞ!

バトー「来るぞ。」
草薙素子:地面には降りるなよ。空対地ミサイルをロックオンされたら逃げ切れん。

バトー「分が悪ぃ。2対1の上に、鼻っから力負けしてる。」

草薙素子:よし、奴の話通りだな。バトー、ターゲットの機体はこっちに張りついた。
バトー:任せたぞ。

サイトー:確認した。少佐、正面を通過する時、一旦ターゲットの顎を上げてくれ。AIを破壊せずにパイロットだけを撃つには、キャノピー※1の横から貫通させたい。
草薙素子:分かった。

サイトー「くっ!」
タチコマ「あやああぁ!」
草薙素子タチコマ!」

草薙素子「んんっ!」

草薙素子「くっ!」

草薙素子「管制からのコード解除を受け入れたか。」

合田一人「予測が当たってて良かった。心停止したパイロットの電脳からの信号を切れば、恐らく支援AIは管制からのコードを受け入れるとね。それに貴方方に本件の依頼をした私の目も正しかった。お陰で自衛官達に同属殺しの汚名を着せずに済んだ訳ですから。」
バトー「じゃ何か?内のサイトーになら汚名を着せても構わねえってのか!?」
サイトーバトー、俺なら慣れてる。」

荒巻大輔「ご苦労だったな。今し方11機全ての帰投が確認されたそうだ。」
草薙素子トグサからの報告、聞いた?」
荒巻大輔「いや。」
草薙素子「あのパイロットの自宅から心臓の薬が発見されたそうよ。上官には病気の事は隠していた様ね。」
荒巻大輔「では少佐は、彼が言うテロではなく、この件は飽く迄も事故と?」
草薙素子「分からない。発見した薬や死亡したパイロットの血液を構造解析してみない事には確認しようも無いけど。」
荒巻大輔「全てを知っていた様なタイミングで現れた内閣情報庁。それに只徒に難民の感情を逆撫でし、恰もそれ自体が目的だったかの様に彼等の頭上を飛び去って行った陸自のヘリコプター。それが何を意味するのか。もしかすると我々の知らない所で、大きな犯罪が芽こうとしているのかも知れんな。」


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※1:canopy 天蓋の意。此処では飛行機・競走用自動車等の操縦席を覆う透明な円蓋を指す。

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