the Cat Met with Special Boxes.

【攻殻機動隊】第12話 名も無き者へ SELECON

なもなきものへTo those without even a name

粗筋 page top

長崎湾岸でクゼの目撃情報が入った。
「個別の十一人事件」を追っていた9課の面々はその現場に急行する。
その行動に並行して、トグサはその原著を探す為大学図書館を訪れていた。
しかし、本は見つからず目撃現場に向かっていた面々も、クゼ本人も見つける事は出来ない。
その時、九州タワー屋上に「個別の十一人」が現れたとの情報が入る。
その姿を一斉に捉えるテレビ局。
そしてモニター越しの彼らは世間を震撼させる行動を開始する。

登場人物 page top

用語 page top

台詞 page top

タチコマ「F4デコイ起動。」
タチコマ防壁解除ウイルス注入。」
ボーマ「いいぞ。攻性防壁を全種、外壁にスタンバイしたらプロテクトを掛けて凍らしとけ。」
タチコマ「了解。」
ボーマ「あったぞ。」
イシカワ「北半球経由でヨーロッパの衛星網を通らないと行けないステルスゲートか。」
ボーマ「ああ。だがなんの事は無い。本体はエイジェン※1マトリックスだ。」
イシカワ「ローカルアジアンネットか。捻りが無いな。」
ボーマ「だな。」
タチコマ「早速。構造解析始めますかあ?」
イシカワ「まずは少佐に連絡だ。」
タチコマ「ええー。」「ぶー。」

individual episodes:名も無き者へ SELECON※2 page top

草薙素子「ゴーダの奴、是見よがしだな。カワシマの外部記憶を見つけたとしても自分に繋がる証拠は発見出来ないと言うメッセージ。」
イシカワ「狡猾だな。だが見た所この外部記憶に第三者の手が入った形跡はない。個別の十一人ウイルスによって発症するのだとしたら、その証拠が残されている可能性は十分ある。」
草薙素子「よし。私が潜る。イシカワボーマは援護を。タチコマウイルスアレイをスタンバイ。」
タチコマ「Dセットでよろしいですか?」
草薙素子「いいだろう。」
荒巻大輔少佐、取り込み中済まんが、大至急来てくれ。最優先事項だ。」
草薙素子「この件以上って事は、穏やかじゃないわね。」
荒巻大輔「そうだ。バトーサイトーパズも呼べ。」
草薙素子「だそうよ。ボーマ、代わりにこいつにダイブしておけ。イシカワ、後は頼んだぞ。」
イシカワ「よし。早いとこ始末するか。」

イシカワ「行くぞ。」
タチコマ「ねえねえ、トグサ君はなんで擬人化したデータをデフォルトにしないの?」
トグサ「ん?チャットならともかく、防壁アレイに潜る時にそんなの背負ってたら重くて危ないだろ。第一、俺やイシカワの旦那がアメコミのヒーローみたいなコスチュームで浮いてるのを見たいのか?」
タチコマ「それもそうですね。」
イシカワ「無駄話はよせ。ボーマがゲートを潜るぞ。」
タチコマウイルス注入再開。敵防壁アレイとの衝突。中和開始を確認。」

トグサ「どうだ?」
ボーマ「見えてきた。第6レベルに怪しいファイルがあるな。」
イシカワ「ファイル名は?」
ボーマ「インディビジュアル・イレブン。どうする?」
イシカワ「そいつが、個別の十一人を融和するウイルスかどうか確認するには、実際に誰かの電脳に落とし込んでみるのが早いな。」
トグサ「おい。」
ボーマ「仕方ねえ。俺の頭に入れてみるか。」
トグサ「なあ。危険なんじゃないのか?やっぱりワクチンを組み上げてからの方が・・・」
ボーマ「ワクチンってのは、発症してからじゃなきゃ作れないんだ。」
イシカワ「そういう事だ。よしバックアップは万全だ。念の為電脳の解析区画を切り分けておけよ。」
ボーマ「ああ。」

荒巻大輔「今から22分前、長崎沿岸B区のIRシステムが偶然捉えた映像だ。」
バトー「こいつ、今迄何処に隠れてやがったんだ?」
草薙素子義体を換えずにいたとすると、生体パーツが自己再生する迄活動を停止していたのか。」
荒巻大輔「うむ。これは千載一遇のチャンスかもしれん。九州庁の全権に監視体制を強化する様に要請した。至急長崎へ飛び、奴を捕らえろ。」

トグサ「おい、ボーマ、大丈夫か?おい、これって、やばいんじゃないの?」
イシカワ「プログラムを強制終了させる。」
トグサ「おい、ボーマ。」
イシカワ「ん?」
トグサ「ん?大丈夫か?」
ボーマ「ああ。」
イシカワ「で、どうだった?」
ボーマ「なんの事はねえ、中身は出来の悪い評論文だ。」
トグサ「評論文?」
イシカワ「ん?」

草薙素子「あの男が首相を襲った男と同一人物なら、課長の言う様に、個別の十一人が現れた因子を、そのまま電脳内に保有している可能性は十分ある。」
サイトー「長距離レンジでの狙撃って手もあるが、PKF仕様は各器官が個別に稼動するイモータル※3義体だ。頭を撃たなきゃ止まらんぞ。」
バトー「だったら接敵して力技でいくさ。場合によっちゃあこいつで頭だけにして持ち帰るって手もある。」
草薙素子「サディストだな。」

イシカワ「こいつをダウンロードするだけでは発症しないのか?」
ボーマ「確かに、無作為にばら撒いて誰もが個別の十一人になってしまっては意味が無いからな。何か別の因子があるのかも。」
荒巻大輔「どうだ?」
イシカワ「芳しくありませんねえ。」
荒巻大輔少佐がダイブして辿り着いたゴーダの計画はかなり信憑性がある。それが難民と言う火薬庫に火を付けた。」
イシカワ「奴はどう見たって真っ黒です。しかも自分が犯人だって事を第三者に気付かれたくって仕方無いって手合いだ。」
イシカワ「だがこいつが発症しない限り、何一つ証明出来ませんよ。」
ボーマ「せめて、個別の十一人の評論文のオリジナルでも手に入りゃあな。」
トグサ「でも、以前の検索捜査でも結局見つからなかったんだろ?」
荒巻大輔「うむ。なら、紙媒体で見つけてみてはどうだ?原書ならまだ何処かに残ってるかもしれん。」
トグサ「そうですね。」
荒巻大輔「思い当たる場所がある。そこへ行ってみろ。」
トグサ「分かりました。」
イシカワ「よし。そっちはお前に任せる。俺とボーマはもう一度カワシマの外部記憶を徹底的に構造解析してみる。今の所これが唯一の手掛かりだからな。」
荒巻大輔「よし。頼んだぞ。行こう。」

男1「やめておけ。その思いはこれからの行動に向けて取っておけ。」
男2「同感だな。他の者も集まって来ている様だ。時間が無い。」
男3「うむ。」

草薙素子「見失った?」
9課オペレーター「はい。高速道路のIRシステムで、鹿児島方面に向かった所迄は確認出来たのですが、パーキングエリアに入った所で車をリモート運転に切り替え、貨物車両に潜んで移動した可能性があります。監視センターの職員が、そのまま車を追跡してしまった様です。」
草薙素子「奴の車はその後どっちに向かった?」
9課オペレーター「インターチェンジを降りて、福岡へ向かいました。」
草薙素子「車のAIをハックして逆探知は?」
9課オペレーター「接続しようとした途端、ネットが切れました。」
草薙素子「電子戦の心得もあると言う訳か。成る程。お前達は今の映像に映っていた貨物車両を全て追跡して奴を見つけ出せ。」
9課オペレーター「了解しました。」
サイトー「どうする?」
草薙素子「鹿児島へ向かう。」
バトー「そう思わせようとする奴のトラップだったら?」
草薙素子「可能性の順位からいけば、鹿児島だ。」

クゼ・ヒデオ「これで全部か?」
男1「個別の意思を共有する者であれば、これ以上遅れる事はあるまい。」

トグサ「荒巻課長の紹介で来ました。トグサといいます。」
教授「うむ、聞いてるよ。個別の十一人の原書が見たいと言う事だったね。」
トグサ「はい。ネット上ではどうしても見つからなかったものですから。」
教授「そうだろうね。個別の十一人は、パトリック・シルベストルがルーマニア革命に身を投じその生涯を閉じる直前たった20冊のみ出版された貴重な本である事は確かだ。まあ今ではかなりの数の翻訳版が、再版されている筈だがね。」
トグサ「ほう。著者自身は日本で起こった五・一五事件を、最後迄革命と定義付ける事が出来なかった為に、封印していた様ですが、能楽を革命の隠喩として用いる等、その思想は今でも輝きを失っていないと聞きますが?」
教授「ふむ、俗物根性で来ている訳ではなさそうだな。いいでしょう。荒巻さんの紹介と言う事でもあるし、特別にお見せしましょう。」
トグサ「有難う御座います。」

荒巻大輔:どうだ?
トグサ:どうやら、信用して貰えた様です。それにしても、よくこんな偏屈な大学教授が知り合いにいましたね。
荒巻大輔:いつの世も持つべき物は人脈だ。
トグサ「確かに。」

教授「おかしいな?あれを手に入れてからは、一時もこの部屋から持ち出した事は無いんだが・・・」
トグサ「あのお、原書で無くっても結構です。コピーとか、復刻版と言った類でも・・・」
教授「それが、何故か全く見当たらないんだ。」

男1「時に貴様は、どの様な手段で奉仕を?」
男3「俺は、難民問題に対し融和政策を唱える国賊議員を刺殺しただけだ。貴様は何を?」
男1「俺達はJNNテレビの経理ネットに進入し、難民支援の義援金不正流用を演出した。」
男3「ほう。」
男4「我々は、もっと直接的な行為で難民開放を促してやった。」
男5「うむ。難民支援団体帰難会爆破。あれは俺達の奉仕だ。」
男6「帰難会爆破は大きく報道はされたが、所詮は難民同士の繋がりを断ったに過ぎん。我らは本当の国賊である、裏切り者を消去した。」
男7「難民に義体を無償提供していたNPOを狙ったのだ。」
男8「爆破は失敗に終わった様だがな。確かに国賊を討つのも一興だが、やはり開放すべき難民の動脈を断つ事が重要。」
男7「ならばお前は何をした?」
男8「ネットバンク頭取の首を取った。」
一同「おおっ・・・」
男7「難民出身でありながら、ネットバンク設立で財をなしたジマ・イチヒロ会長をやったのはお前だったのか。」
男9「難民の動脈を断つと言う意味では貴様に負けるが、世論に与えた衝撃では、自分の犯行も負けてはいない。人気電脳ラッパー伝説を殺したのは俺だ。それともう一つ。政府の隠し原発より掘り出された燃料棒を難民が襲撃するといったブラフを流したのも俺だ。」
男「やるな。確かにあれは国民と難民の双方の心理に多大な影響を及ぼした。」
男「伝説は、難民の若者達にとっての精神的支柱。それを失った彼等の心に憎しみが宿るのは当然。更に蜂起を促すブラフか。」
男10「貴様の奉仕の後では我らの所業は霞むな。」
男11「残念ながらな。だが、国賊である医師の命を絶つ事により難民の血脈を断つと言う意味に於いては、右に同じ。」
男3「貴様は、どういった奉仕を?」
クゼ・ヒデオ「茅葺を、暗殺しようとした。」
男3「ほう。随分と大胆な手に出たな。だがその様な事件があった事、一度も聞いてはいないぞ。」
クゼ・ヒデオ個別の十一人の犯行声明同様、無視されたのだろう。それは大した問題ではない。だが時に、お前達の言う難民開放は、彼等に絶望を与えているだけにしか見えんが、それは何故だ?」
男3「う・・・」
男4「国賊や同胞からの支援を断ち、自立と言う名の解放を促してやる。それが国民に難民と言う異物の存在を自発的に気付かせてやる最良の手段だからだ。違うか?」

ボーマ「なあ、イシカワ。シルベストルの評論文は全部読んでるか?」
イシカワ個別の十一人を除いて一応な。何故?」
ボーマ「課長はどうです?実は俺、読んでないんですが。」
荒巻大輔「儂も個別の十一人以外は読んでる。」
イシカワ「まあ、今時あれを全部読んでる奴の方が珍しいだろうな。」
ボーマ「だよなあ。だがこのカワシマも明らかに読んでいる。」
イシカワ「それ処か、外部記憶にアップして隅々迄暗記していたんだろうな。ん?」
荒巻大輔「ん?どうした。」
イシカワ「そういう事か。そいつがウイルスを発症させる因子って事か。」
ボーマ「多分な。」
イシカワタチコマ、そこからシルベストルの初期革命集に関するファイルを集めろ。」
タチコマ「了解。」

タチコマ少佐、発見しました。鹿児島県戦没者慰霊塔。14時32分の映像です。」
草薙素子「よし。戦没者慰霊塔に機首を向けろ。」
9課オペレーター「了解。戦没者慰霊塔に向かいます。」

トグサ:課長、駄目ですね。此処にも個別の十一人は保存されていません。
荒巻大輔:そこに無いとなると、最早探し出す術は絶たれたか。
イシカワトグサ、そろそろ戻れ。見つからない物は仕方あるまい。
トグサ:ああ。でも、あと一箇所、思い当たる場所があるんだ。そこへ行ってから戻る。
イシカワ「分かった。」

タチコマ「抽出しましたあ。」
イシカワ「よし。行ってみるか。」
ボーマ「ああ。」

男3「そろそろだな。」
男2「うむ。」
男1「ところで、最後の演説は誰が執る?」
男2「我らの意思を最も強く伝播させた者こそが適任だろう。」
男1「となると、やはり貴様か?」
男9「此処に現れなかった同志の中にも、奉仕に寄与した者が大勢いるとは思うが、全員が俺を推すと言うのならその大役、心して受けよう。」
一同「うむ。」
男3「貴様も異存ないな?」
クゼ・ヒデオ「ああ。だが、一つ頼みがある。我らが聖典個別の十一人、差し支えなければ貴様のそれを見せてくれないか。版数は初版か?」
男9「うむ。待て。版数を知りたいのなら俺のも確か初版だ。」
クゼ・ヒデオ「本当か?」
男9「あ、ああ。」
クゼ・ヒデオ「今日、此処に赴くに当たり、俺も個別の十一人を懐に忍ばせて来るつもりだった。しかし、幾ら探しても見つからない。何故だ?頼む。誰か、個別の十一人を・・・!」
男10「おい。もうすぐ到着するぞ。」

トグサ「おおっと。」
三橋タカシ「あ、あんた、あん時の。」
トグサ「随分慌ててるんだな。実は、また聞きたい事があって」
三橋タカシ「丁度良かった・・・とにかく来てくれ!」
トグサ「あ、ちょっと、おい!」

男「やめろ、それを置いて。」
女「お願い、やめて・・・」
トグサ「何やってるんだ!?」

イシカワ「どうだ?」
ボーマ 「特に変わった事は無いな。やっぱり最後の一篇、個別の十一人が必要なのかもしれんな。」
ボーマ 「なんだ?うっ!うああ!」
荒巻大輔イシカワ!」
ボーマ 「うああ!」
イシカワボーマ!」
ボーマ 「ああぁ!」
ボーマ 「うっ・・・」
イシカワタチコマボーマ電脳活性をオフにして、このまま眠らせとけ。それから、今の記憶も再生禁止にして、防壁アレイで閉鎖しろ。」
タチコマ「了解。」
荒巻大輔「どうやら当たりを引いたらしいな。」
9課オペレーター:課長。内務省からの緊急連絡です。
荒巻大輔「ダイブルームに繋げ!」
9課オペレーター「了解。」
荒巻大輔「これは・・・!」

バトー「こんな所で何をしてやがったんだ?」

荒巻大輔少佐、急いで九州電波塔へ向かえ!奴が姿を現した。
草薙素子「どういう事?」
荒巻大輔:分からんがチャンネル33が奴の姿を捉えた。
バトー「見つけたって?」

アナウンサー「おい、撮ってるか?あいつ等はなんて言った?カメラ回して!」

バトー「なんだ!?」

アナウンサー「ああっ!刀です!刀を振りか・・・ああっ!頭を!お互いの頭を、刀で、斬り落としました!次々と、き、斬り合っています。一体・・・信じ難い光景です。屋上に現れた男達は、刀で斬り合い死亡した模様です!」

トグサ「落ち着いて。あんたと話をしに来ただけだ。」
±橋文也「こっちへ来るな。」
トグサ「あんた、個別の十一人って評論を知ってるだろ?」
±橋文也個別の十一人なんて評論は、始めから存在していなかったんだ。」
±橋文也「あるのは只、個別の十一人と言う作られた思想だけだ!」
±橋文也「俺は個別の十一人!とうとうこの時を迎えた!ふん!」
女性社員「きゃああ!」
トグサ「救急車!早く!」


脚注 page top

※1:asian アジアンを英語発音に近づけたもの。
※2:selecon セレソン(ポルトガル語で「選ばれし者」)の意。
※3:immortal 死なない。不死の。

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