the Cat Met with Special Boxes.

第13話 顔 MAKE UP

かおFace

粗筋

九州タワーから逃走したクゼ。
9課は、特定の人物にしか作成出来ないと言うその顔に焦点をあて、捜査を開始する。
そして、重要参考人として浮かび上がった造顔作家の所へ急行するものの、その男は殺された直後だった。
しかも、防犯カメラに捕らえていた犯人の顔は、なんとパズその物。
困惑するパズ、しかしそれが自身の過去に関係した事件だと気付くのに時間はかからなかった。
パズの過去にあった物とは・・・


登場人物

用語

セリフ

男9「聞け!名も無き者達よ。我等個別の十一人。個が個のままに集い、世界を刷新していく者だ。最早この国はシステムとしての寿命を終えようとしている。難民による自爆テロ。政治不信。諸外国からの軋轢。この国を取り巻く情勢を、集合体となりし個が救うのだ。目覚めろ!名も無きもの達よ。そして、システムの一部たれ!」

dividual episodes:顔 MAKE UP

アナウンサー「おい、音声!7時のニュースには入ってるの?入ってる?よし、こっちは映像を拾うぞ。」
男「杉ちゃん、あれ!」
アナウンサー「ん?ああっ!」

男9「そして今日、最後の行動を起こす!」
男9「我々の、意思を継げ!」
クゼ「待て。」
男1「問答無用!」

荒巻大輔「止めろ。これが昨日午後7時の国営放送に突如現れた個別の十一人の映像だ。」
バトー「姿を現したと思ったら行き成り自決か?」
草薙素子「ゴーダの擬似人格からプロファイルした結論を想起させる行動だな。スタンド・アローン・コンプレックスを引き起こさせる媒介者の創造。」
イシカワ「『英雄の誕生はその死を以って完結とす』、パトリック・シルベストルがキューバ革命を論じた言葉通りの行動って訳か。」
トグサ「しかもご丁寧な事に、個別の十一人なる幻の一編迄捏造し、それがウイルスである事を巧みにカムフラージュしていた。俺が会いに行っていたルポライター以外にも、全国で謎の自殺を図った人間が大勢出ている筈ですよ。」
ボーマ「俺も危なかったって訳、か。」
9課鑑識ウイルスに感染した者が、最終的に自決するようプログラムされていたのは確かだ。」
荒巻大輔「既に難民は、自爆と言う手段で行動を起こしている。ゴーダの自決報道でどれだけの模倣者が現れるかは不明だが、無自覚だった一般市民の多くも、この国にも難民問題と言う火薬庫が存在する事を深く知る事となった訳だ。」
草薙素子ウイルスによる発症者を再発させない為にも、ワクチンは必要だな。」
荒巻大輔「ゴーダの計画も恐らく第一段階を終了したに過ぎん。難民や模倣者の反応は気になる所だが、その対応は数で劣る9課では最早対抗出来ん。そこで我々は、内調に的を絞り動いていく。」
トグサ「その為には、やはりその男を捕まえる必要がある。」
荒巻大輔「そうだ。」
バトー「しかし何なんだよそいつは?何故一人だけ自決しなかった?」
9課鑑識「その理由を正確に突き止める事は、本人の電脳を解析してみん事には不可能だな。我々鑑識の間では、同一ウイルスに感染しておきながら、全く違う行動を起こす者を突発性異変体と呼ぶ事にした。」
草薙素子「で、その異変体の映像から、何か新しいインフォメーションは読み取れたのか?」
9課鑑識「当然。まず、ここを見てくれ。首相を襲った時の映像でも気になっていたんだが、こいつは喋る時、口を動かさない。ここだ。」
9課鑑識「この時は、義体のパフォーマンスを上げる為に、神経ネットを遮断してるのだろうと思っていたが、今回も同じ行動が見られた事で、どうやら違う結論が見えてきた。」
9課鑑識「恐らく、こいつは表情筋の神経ネットを形成するマイクロマシンを殆ど使用していないんだろう。」
バトー「口が動かねえって事か?」
9課鑑識「いや、動かないのではなく、殆ど動かせないと言う事だ。」
トグサ「それが、奴を追う手掛かりになるのかよ?」
9課鑑識「慌てるな。その上で奴の顔を見てくれ。随分といい顔をしているだろう?」
バトー「そんな事はどうでもいいだろうが。」
9課鑑識「せっかちだなあんたらは、まあ聞け。私が言いたいのは、表情筋を排して尚、これだけ人間らしい顔をしていられるのは何故か?と言う事だ。」
草薙素子「腕のいい造顔作家に作らせた顔。」
9課鑑識「流石は少佐。恐らくこいつの顔は、超一流の造顔作家が作ったものだ。私の読みでは、作者は大企業に囲われていない芸術家。そうなると、それ程の作家は国内に、二人しか存在しない。」

トグサ「造顔作家がそんなに貴重な存在とはな。」
バトー「元々日本人は器用だが写実的な描写は苦手だと言われている。有り物は作れてもワンオフ※1の顔を作り出せるセンスを持ち合わせているアーティストは、確かに少ない。」
トグサ「成る程ね。ん・・・?おい。」
バトー「ん?」

バトー「9課だ。何があった?」
警官「はっ、どうやら、殺人事件の様です。」
バトー少佐。到着早々妙な事になってるな。
草薙素子:どうした?
バトー:対象が消された可能性がある。
草薙素子:先を越されたのか?
バトー:分からんが、アトリエを県警が殺人事件で閉鎖中。
草薙素子パズサイトーを回す。県警に現場を荒らされるな。
バトー:間に合わねえかもな。

バトー「9課だ。お前等全員ここから出て行って貰えないか?」
刑事「ああん?何で9課が只の殺しに顔を出してくるんだ?」
トグサ「被害者は造顔作家か?」
刑事「そうだ。」
トグサ「実はこっちの追っている事件の重要参考人なんだ。」
刑事「残念だったな。だがこの山はすぐに解決する。犯人が捕まったら情報は渡してやるから、大人しく帰んな。」
バトー「どういう事だ?」
刑事「見ろ。鑑識じゃなくても指紋の採取が可能か、すぐに分かる。それに星は害者と顔見知りだ。犯行直前迄一緒に酒を飲んでる。更にだ、あそこの監視カメラには犯人の顔がばっちり映っていた。これ以上説明する必要もあるまい。」
バトー「じゃあ、その映像を見せろ。」
刑事「駄目だ。」
バトー「何だと・・・強制的に指揮権を剥奪してもいいんだぞ?」
刑事「そういう圧力には屈しない。これは内の山だ。」
バトー「この・・・」
トグサ「おいバトーパズ「穏やかじゃないな。」
刑事「ん・・・!その顔・・・お前、誰だ・・・?」

草薙素子「確かに、パズ以外の何者でもないな。」
荒巻大輔「証拠品の指紋はどうなった?」
トグサ「一致したそうです。」
バトー「グラスに残っていた唇紋もな。逮捕するって喚く県警の連中を押し留めんのに苦労したぜ。」
草薙素子「この映像が決定的な証拠にならない事は、県警の連中も理解はしているだろうが、指紋も唇紋もとなると面倒だな。」
トグサ「この2つにしたって、偽造は出来る訳でしょう?」
草薙素子義体に記録されたDNAデータ迄盗み出せればな。」
バトー「あの義体野郎が犯人だとして、こんな事が起こるか?」
草薙素子「それは考えにくいな。何か、別の事件とかち合ったのかも・・・パズ、思い当たる節は?」
パズ「今の所。」
草薙素子「よし、イシカワボーマは回収したデータから義体男の記録がないか調べろ。バトーサイトートグサは県警と協力し、造顔作家殺しの線を追え。パズは容疑が晴れる迄自重しろ。事件に関して思い当たる情報は全て報告。何らかの理由がある筈だ。」
パズ「了解・・・」

バトー「どうなんだよ、何か思い当たる事があるんじゃねえのか?」
パズ「いや・・・無い。」
バトー少佐に言い辛いんなら、俺でもいいぞ。何か思いついたら話してくれ。」
パズ「分かった。」

バーテン「番いのデスマスク。ママの新しい趣味なんですがね。」

バーテン「いらっしゃいませ。」
刑事「同じ物をくれ。」
パズ「何か用か?」
刑事「尾行しようと思ったが、すぐに気付かれそうなんでな。別に俺もあんたが犯人だとは思ってない。この街には顔迄義体化した奴なんざ珍しくもないからな。だがあれは同じ顔なんてもんじゃない、あんたその物だ。俺はあの映像から何かあんたに対する執念みたいな物を感じた。犯人は絶対あんたと関係がある。だから張り付かせて貰う。今夜はその挨拶だ。」
パズ「好きにしろ。」

ママ「初めてね、男の連れがいるなんて。大抵一人か・・・いつも必ず違う女性。」
パズ「知らない男さ。」
ママ「そう。」
パズ「趣味が変わったか?」
ママ「あれの事?最近、素敵な造顔作家の先生と知り合ったの。」
パズ「造顔作家?」
ママ「その人にあたしの新しい顔を作って貰う事にしたんだけど、彼が作る顔を試着していて、ある事に気付いたの。それは、ゴーストって脳殻の中じゃなくて皮膚、特にその顔に刻まれた皺に宿るんじゃないか、って。その造顔作家の先生は、戦場で負傷した兵士の為に新しい顔を作っていたらしいんだけど、ある時、顔の傷の深さがその兵士の心の傷の深さと同じなんだって、気付いたそうよ。」

刑事「何だ、あんたか。」

刑事「な、何だ・・・?まさか!?」

イシカワ「こいつじゃないか?見つけたぞ少佐。名前はクゼ・ヒデオ。全身を義体化している。記録されているスペックから見て、PKF仕様の義体にほぼ間違いないな。顔のオーダーも鑑識が推理した様に殆ど神経ネットを定着させていない。造顔作家の腕だけで、表情や皺を表現した物の様だな。当然ワンオフ。素材は自己再生プログラムを組み込んだナノカーボンと人工生体皮膚のハイブリッド。」
草薙素子「成る程・・・」
イシカワ「直接関係があるかどうかは分からないが、殺された造顔作家は好んで退役軍人の顔ばかりを作成していた様だ。恐らくこいつは、そんな噂を聞き付け自分の顔を作らせたんだろう。」
草薙素子クゼ・ヒデオか・・・当時の記憶が消されている以上、直に足取りを調べるしかないな。イシカワ、半島に飛ぶ準備をしておけ。」
イシカワ「老体に厳しいな。」
草薙素子「向こうに一番顔が利くのはお前だからな。」
ボーマ「こいつは今回の造顔作家殺しとは関係ないんでしょうか?」
草薙素子「多分な。」
ボーマ「でも、犯人はパズに何らかの関係がある?」
草薙素子「うむ。」
イシカワ「意外に女絡みかもな。」

トグサ少佐、不味い事になった。
草薙素子:どうした。
バトー:県警の刑事が殺された。
トグサ:しかも、殺される前にパズと会っていたそうです。
草薙素子パズはそこに?
トグサ:ええ。
バトー少佐、こいつは明らかにパズを嵌めようとしてるな。落ちていた薬莢から使用弾薬はセブロM5の専用弾だ。
草薙素子:あからさまだな。パズ、これでもまだ思い当たる節はないのか?
パズ:寧ろ有り過ぎる位だ。少佐、殺された造顔作家の顧客データ、新しい方からいくつか見せてくれ。何か思いつくかもしれん。
草薙素子:分かった。ボーマ

パズ「ん?」
パズ少佐、この事件ここからは俺一人で追わせてくれ。もし迷惑を掛ける様な事になったら、すぐに俺を切ってくれて構わない。恐らくこれは、至極個人的な問題の様だ。
草薙素子:分かった。好きにしろ。
パズ:すまない。

警官「おい!何処へ行く!?」
バトー「何勘違いしてんだ?こいつが容疑者だとでもいうのかよ?」
警官「状況証拠からはそうなる。」
バトー「だが白だ。」
警官「一応捜査はしてみないと・・・」
バトー「そんな必要はない、可能性があるならとっくに内がやってる。」

パズバトー、あんたの外部記憶にこれから向かう場所のアドレスを入れておいた。もし俺が戻らなかったら、そこを探してくれ。」
バトー「分かった。一人でいいのか?」
パズ「ああ。」

女「遅いわ。やっぱり私の事なんか忘れていたのね。たった5年前よ?ここで暮らしてたの。」
パズ「いつからその女の義体を乗っ取った?」
女「3ヶ月位前かしら、あそこで偶然貴方の姿を見つけて・・・全然気付かなかったでしょ?」
パズ「その女の脳殻は?」
女「さあ、今頃は夢の島かしら。」
パズ「俺の指紋もあそこで取ったんだな?」
女「そう。」
パズ「何故、俺になろうとする?」
女「あたしは・・・貴方があたしの前から消えた理由が全く分からなかった。別の女が出来た訳でもない、あたしが嫌いになった訳でもない。貴方について何も聞くなって言われてたからその通りにした。なのに、貴方は消えてしまった。あたしと初めて会った時に言った言葉、覚えてる?『俺は同じ女と二度寝る事は無い』、ふふ。初めは何?って思ったけど、2度目の時にはもう嵌まってた。それは貴方も同じだった筈。酷い男。あたしは気が狂いそうな程貴方を憎んだ。なのに、貴方が消えた理由についても考え続けた。」
パズ「それで顔を?」
女「そう。」
パズ「何か分かったか?」
女「あたしへの、愛の、深、さ・・・貴方とあたしとでは、まるで別の世界を見ていたのね。貴方はそれをあたしに見せない為に、姿を消した。」
パズ「買い被るな。」
女「いえ。貴方はそういう人。でももういいの。私は私の中に貴方のゴーストを手に入れたから。だからもう、本当の貴方はいらない。」

バトー「な・・・!?」

女「まだ、愛があるなら、ここで・・・死んで。」
パズ「ああいいよ。お前に殺されるなら、本望だ。」

バトー「追うぞ!」
タチコマ「了解!」

バトー「やったのか・・・?」

バトー「詳細は報告した通りだ。」
草薙素子パズらしい話だな。」
バトー「まあな。それにしても、もっと早く気付きそうなもんだろ?」
草薙素子「どうかしら。彼を殺したいって思ってる女性、結構多いかもよ。」
バトー「本当かよ。」
草薙素子「確かめた事無いけど、私が最初にスカウトしに行った時も『俺は同じ女と二度寝ない主義だ』とか言ってたし。」
バトー「はあ?参ったね・・・」
草薙素子「それにしてもそのパズ、本物なんでしょうね?」
バトー「多分な・・・」


脚注
※1:one-off 一人、1回、現品限りの(もの)。

「第13話 顔 MAKE UP」をGoogle検索
「第13話 顔 MAKE UP」の画像検索
「第13話 顔 MAKE UP」の動画検索