the Cat Met with Special Boxes.

第21話 敗走 EMBARRASSMENT

はいそうEscape in Defeat

粗筋

択捉から脱出した難民船を、空から追跡しようとするものの、ティルトローターはその眼前で突如、爆発炎上してしまう。
足を失ってしまった9課は、難民達の取引に一枚噛んでいた現地の佐川電子の内偵を開始し、内庁の影に辿り着く。
一方、難民船は順調に帰路についていたが、出島を目前にして海上保安庁の船に取り囲まれてしまう。
クゼ達は、包囲網を潜り抜け無事に戻る事が出来るのか・・・


登場人物

用語

セリフ

バトー「ぬうぅ・・・!」
バトーPKF仕様の義体を過信してるのか?」
クゼ「とっくに耐用年数は過ぎている。優位性は無い。」
バトー「それでも貴様が勝つってか・・・?気にくわねえな・・・!」

dual episodes:敗走 EMBARRASSMENT

バトー「くっ・・・ふん・・・!ふっ・・・!ていっ・・・!ふっ・・・!ていっ・・・!痛覚を切ってる義体をノックアウトするには、脳を揺らすしかねえ・・・!ふん・・・!ふっ・・・!ていっ!」
クゼ「ふん!」
バトー「ううっ・・・野郎・・・!ううぅ・・・」
クゼ「ぬんっ!」
バトー「ぐうぅっ!」
クゼ「ふっ!」
バトー「ぐっ・・・!ぐああ・・・!はあ・・・はあ・・・」
クゼ「お前、元レンジャーか?」
バトー「だったら何だ!?」
クゼ「強いな。俺が勝てたのは僅かな動機の差だろう・・・俺にはまだやらなければならない事がある・・・俺を追うな。」
バトー「待て・・・!糞っ・・・!ええい・・・」

タチコマ「分かるの?」
サイトー「ああ。」

サイトー「ん?」

タチコマ「危ない!」

サイトー「ああ・・・?こいつ・・・リモート死体か!」

サイトー「馬鹿野郎!俺迄殺す気か!?」
タチコマ「ご安心ください。射撃制御ソフトの向上により、サイトーさん以上の精度でピンヘッド出来ますから。」
サイトー「ちっ・・・どういう事だ?こいつ、いつから前頭葉を焼かれてたんだ?異臭がしてるぞ。それにリモート死体だとして、この大深度地下迄どうやって電波を飛ばす?」
タチコマ「んー・・・あれを使ったのでは?」

タチコマ「あそこです!」
草薙素子バトー・・・!何だあの動きは?両方無人か・・・?バトー草薙素子バトーは!?」
タチコマ「クゼを追って行きました。」
草薙素子「後を追うぞ!」
草薙素子(さっきのアームスーツは何だ?この件に陸自が介入する理由が無い。)
草薙素子:コイルは?
タチコマサイトーさんが後を追ってます。」
草薙素子:よし。

草薙素子バトー!」
タチコマバトーさーん!」
草薙素子「どうした?バトー!」

バトー「すまねえ、奴を逃がしちまった・・・」
草薙素子「大丈夫か?」
バトー「俺は大丈夫だ。ちょっと油断した。早くあいつを追え。」
草薙素子「後でボーマ達が来る。ここを動くな。行くぞ。」

バトー(気をつけろよ。奴は強えぞ。)

クゼ「急いで出港だ。追っ手が来る。」
難民1「あいつなら船を下りた様だ。お前達が取引に向かった後で姿を消した。」

草薙素子「クゼ・・・援護しろ!」
タチコマ「うおっ!」
タチコマ少佐!」

草薙素子「奴の行き先は長崎だ!バトーを救助し、ティルトローターで後を追うぞ!」
タチコマ「了解!」

バトー「すまねえ。」
タチコマバトーさーん!」
タチコマバトーさん、大丈夫ですか?」
バトー「それより少佐は?」
バトー「ほう。」
草薙素子「擬装船は港を出た。急いでティルトローターで後を追うぞ。バトータチコマに収容しろ。」
サイトー少佐、コイルは随分前から前頭葉を焼かれて死んでいた様だ。恐らくロシア当局がコイルを尾行していた時には既にリモート死体だった筈だ。それに俺達が来た時点で、ジャブロフと加賀崎もここにはいなかった。」
パズアームスーツのパイロットもリモート死体だ。元は佐川の人間か現地の労働者だ。スーツも陸自に納品される前の代物だ。この取引、裏があるな。」
サイトー「こいつはクゼが支払った金の出所を洗う証拠になりそうだ。どうも、奴は信じられない様な資金源を持っている様だな。」
草薙素子「よし、そっちの詮索は後回しだ。急ぐぞ。」

クゼ「すぐに追っ手が来る。一旦色丹に向かう。出島からは同型の擬装船が出港している筈だ。仲間が来るのを待って海保の網を潜る。」
難民「問題はさっきの奴等が空から来た場合だな。対空砲を準備しておこう。」

イシカワ「どうなってる?」
トグサ「やられたのか?旦那・・・」
バトー「大丈夫だよ。気にすんな。」
草薙素子「すぐ出発する。クゼの船を追うぞ。」

草薙素子イシカワ!そいつを振り落とせ!」

バトーイシカワ!」
トグサ「自爆か!?」
ボーマ「糞!」

イシカワ「うう・・・」

クゼ「ん?」
クゼ「鉛・・・」

難民「来ないな。」
クゼ「彼が止めてくれた様だ。」
難民2「彼?」
難民1「取り引きが当局にばれていたのか?」
クゼ「かもしれん。」
難民2「だが、プルトニウムは手に入った。」
クゼ「そうだ。」
難民1「これで出島は俺達の国になる・・・どうした?」
クゼ「まだ楽観してはいけない。出島に持ち込む迄はな。」
難民1「そうだな。」
クゼ「そこで提案があるんだが。」
難民1「何だ?」
クゼ「ここからは俺一人で出島に向かう。お前達は色丹で船を下りてくれ。」
難民1「えっ・・・?ここから先、海上保安庁の巡視船が出てくる。何なら陸路で行くって手もあるんじゃないか?警察の目も欺けるかも。」
クゼ「いや無理だ。陸からは出島に入れない。行くなら海しかない。それに独立を宣言する為には、海上保安庁の網を潜りプルトニウムを持ち込む方が効果的なんだ。デモンストレーションした上での核武装。核は飽く迄抑止力であって、使う物では無いからな。」
難民1「だったら尚更俺達も行く。海保と戦闘になった時一人でどうするんだ?」
クゼ「俺は一人でも生き延びられるし、必ずプルトニウムを持って帰る。だがお前達がいては足手まといだ。」
難民1「そこ迄はっきり言われてはな・・・お前を信じる他あるまい。」
クゼ「今の俺の行動を、300万の難民がリアルタイムで見つめている。ここで退く訳にはいかない。」

トグサ「道警のヘリか?」
バトー「まるでデジャブだ。たしか昨日まるで同じ様な光景※1を見なかったか?」
草薙素子:課長、バトーイシカワの救助を最優先して貰うわ。それと海上保安庁の件、残念だけど宜しく。私はパズボーマを連れて佐川を調べてみる。気になる事があるの。
荒巻大輔:いいだろう。クゼにプルトニウムが渡ったとなると、海保が最終防衛ラインだな。
草薙素子:かもね。出島では同じ擬装船が既に数隻作られてた。くれぐれも注意して貰って。距離から考えて、領海内を進んでから長崎沖に姿を現す迄数日かかると思うけど。
荒巻大輔:うむ。

社員「ん?主任、写真屋の予定なんてありましたっけ?」
主任「おいおい健忘症か?ありゃあ40年来出入りの上写真館の跡取り娘だよ。」

草薙素子「難民か。無人化し過ぎね。特化した才能だけでは生きていけないのかもな。お前達は情報処理室と記憶管理室を当たれ。私は社長室に行く。この取引、内庁の演出とすればクゼにプルトニウムが渡っていない可能性が高い。その証拠を見つけたい。ゴーダの狙いは既に十中八九完成しているが、奴は先に難民が先に核武装したと言う既成事実を作り上げ、自衛軍の派兵を決定的な物にするつもりだろう。何かを見つけて戻るぞ。」
パズボーマ「了解。」
草薙素子(このまま行けば難民との内戦は実現し、現政権の軍拡と言う思惑を達成出来る。だが悪化の一途を辿る難民問題はどう決着させる?ゴーダ。)

草薙素子加賀崎か。だがこっちは仮の義体だった様だな。本体に切り替えて逃亡しようとしたが、結局殺された・・・ジャブロフとその部下か。無人化していた事が仇となったな。クロルデン同様、人知れず消されたか・・・全て消去されている。こうなるとクロルデンのデータが唯一の手掛かりか。」
草薙素子パズボーマ、そっちはどうだ?
パズ:こっちには会社関連の記録しか残っていない。大量に消去されたデータの痕跡は有るが、復旧は難しそうだな。
ボーマ:こっちも同様だ。
草薙素子「そうか。状況から見て、この取引は内庁のコントロール下にあった様だが、コイルを操っていたのが内庁と言う証拠は無い。現場を記録したら一旦本部に戻る。
パズボーマ:了解。
草薙素子「未だゴーダの手の上と言う事か。お前はどうする?クゼ。」

バトー「心配ねえ。3日やそこらじゃ体に馴染んだ気がしねえってだけだ・・・ご老体の容態はどうだった?」
草薙素子「幸い脳には異常は見つからなかったわ。全治1ヶ月ってとこかしら。」
荒巻大輔「今回の件では多大な損出を被った。メンバーの死亡、負傷、ティルトローター機も失い最早完敗と言っていいだろうな。」
バトー「クゼの擬装船は?まだ姿を現さねえのか?」
荒巻大輔「まだ海保の網にはかかっておらん。政府の動きも特に無しだ。難民も今の所大人しくしているし、自衛軍を出動させる根拠には乏しいと言うのが一致した見解だ。中国政府は非公式ながら自治区への対応を懸念している様だがな。」
トグサ「自治区って!難民を受け入れもしないくせに随分勝手な言い草ですね。」
草薙素子「茅葺が親中派って事も、中国サイドの発言を後押ししているのかもね。」
荒巻大輔「今の所海上保安庁内でも、一部の者しか擬装船にプルトニウムが積まれている可能性がある事を知る者はいないが、神崎議員あたりは既に独自のルートを通じて今回の事態をキャッチしている様だ。従って、与党内部にも状況を把握している者は多数いると考えるべきだろう。」
草薙素子「それでも高倉官房長官が動かないのは、内庁の脚本通りプルトニウムが出島に持ち込まれれば既成事実が出来、自衛軍派兵への障害は取り除かれると言う余裕かしら。」
荒巻大輔「そういう事だろうな。」
トグサ「一部ネット上でもロシアマフィアと難民との間で、プルトニウムの取引が執り行われた可能性について騒ぎ始めている所があるようですけど。」
バトー「となると、難民サイドはどう出る?少佐の読み通りクゼにプルトニウムが渡っていないとしたら、クゼはどうすると思う?」
草薙素子「類稀なるカリスマ性と尋常で無い行動力。そして的確な情勢判断でここ迄事態を牽引しては来たが、所詮は一介のテロリストだ。戦略的にも戦力的にも、国家の後ろ盾があるゴーダの方が一枚上手だ。結果クゼの行動はゴーダのシナリオに沿った物となり、奴の思惑通りに事態を進める役回りを演じている訳だが、実際はゴーダのコントロール下にある訳では無い。状況を逆転出来る要素が有るとすれば、奴の動きがそれに当たるかもしれん。おかしな話だが、これもスタンド・アローン・コンプレックスの成せる業と言う事なのかもしれんがな。」
9課オペレーター「課長。たった今海上保安庁の巡視船がクゼの乗った擬装船と思われる船を長崎沖天草灘にて発見したとの報告が入りました。」
荒巻大輔「状況を伝えて来ているか?」
9課オペレーター「はい。巡視船からのライブ映像が来ています。」
荒巻大輔「こっちのモニターに繋げ。」
9課オペレーター「了解しました。」

船員「止まりませんね。」
船長「駄目だな、威嚇じゃ。もっと船体寄せて!」
船員「はっ。もっと船体寄せろ!」
船長「船体射撃用意!」
船員「船体射撃!」
船員「船体射撃!」
船員「船体射撃!」

船長「当たったか?」
船員「当たりました。」
船員「命中確認。」

船員「撃って来た!」

船員「撃たれた!」
船員「右舷、右舷に被弾!」
船長「現在攻撃を受けている!正当防衛射撃!撃て!」
船員「撃て撃て!」
船長「気をつけろ!燃料タンクは避けろ!プルトニウムがっ飛んだらどうする!?」

草薙素子「不味いわね。この映像マスコミにも流れるわよ。」

船員「船体、発火したようです!」
船長「船員を拘束しろ!船を接近!もっと接近して捕らえろ!」
船員「おい、どういう事だ!?」
船員「何だ!?あれは・・・」
船員「船長!」
船長「何だ!?」
船員「長崎が!」
船長「長崎!?」
船員「おい・・・」
船員「どんどん消えていくぞ・・・」

クゼ「何だ?」

バトー「難民が大停電テロを起こしやがったのか?」
トグサ「クゼの援護って事か。」
荒巻大輔「実際そこ迄難民がやれるとは考えにくい。」
トグサ「え・・・?じゃあ・・・」
草薙素子「憎しみの連鎖の果てにある物は、難民との泥沼の戦争・・・」


脚注

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